黄瀬涼太は好きな子にアタックできません2 (ページ31)

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80話ページ31

マネージャーの仕事は大まかに三つ。

選手の練習メニューと日程管理、合宿などのサポートである

黄瀬「なんか、無理矢理になっちゃってごめんね」

私の方を見て、そう呟いた黄瀬くんに、「ううん！むしろありがとう」とつぶやいたと同時に
ふと、昨日のことをたくさん思い出して視線を逸らした

私の急な感謝に黄瀬くんは少し不思議な顔をしたので
私は咄嗟に
「私のこと、見ててくれて」と付け足した

口に出してからかなり恥ずかしいことを言ったことに気がついたけど
黄瀬くんは顔を赤らめたりせずに真っ直ぐに私に言った。

「Aっちと、バスケしたかったからさ」

その言葉が、ストン、と私の心に届いた。
そんな風におもってくれているなんて

好きなのは、わたしだけ、だよねなんてまた余計なことを考えて

2人の曖昧な関係に、少し胸が痛んだ。

「よーしそしたら！月曜日から部活に参加してくれると助かる！」

立ち上がりながらそういう先輩に「わかりました！よろしくお願いします！」と
わたしは大きな声で答えた。

かいさーんと先輩が号令をかけると、みんながわらわらと立ち上がり出した

わたしが立ち上がり、お尻をはたいていると目の前に大きな手

「3年の森山だ。よろしく」

切長の目にサラサラストレートヘア

「あ、こちらこそ…」
といいかけて手を取ろうとした時、後ろにいた短髪の男性が彼の頭を叩いた

「お前そうやって女の子にすぐ手出すな！
悪いな、俺は小堀だ。よろしく」

森山さん、と、小堀さん。

よろしくお願いします、と頭を下げると後ろからさらに新幹線のような男の人が1人

「早川っていいますよ(ろ)しくおねがいしまっす！！！！」

名前の通り、はやい、そんなことを思ったと同時に

ハハ、と笑うと後ろから声が聞こえた

「男バス1年、黄瀬涼太ッス。よろしく」
そう優しい笑顔で微笑みかけて、もう一度知り合ったかのように握手をして

「ふふ、よろしくお願いします」
私もすかさず少し強く握り返した。

「じゃあー、私さき帰るね、バイバーイ」
リナは私に手を振って、先輩たちにペコっとして小走りで帰っていった

「彼女も…悪くないな。」
「お前なぁ…」

そんなやりとりに、笑みが溢れた。