79話 ページ30
校庭に出ると、目線の先に見慣れた青いジャージ姿の集団
黄瀬くんは、すぐに私に気がついてくれて
こっちこっち!と手を振ってくれた。
暑い太陽がジリジリと校庭を照りつけていて、黄瀬くんの体調が心配になった。
私に手を振るとすぐに男バスのレギュラー組が日陰に入るのが見えて、私もすかさず日陰に入る
やはり、全国常連のバスケ部だけあって…威圧感がすごい
「うひょー、みんなでかいね」
リナも同じことを思っていたようで、私たちは端っこに申し訳なさそうに座った
私の姿を見て、すぅっと息を吸った笠松先輩は「単刀直入に言おう」と口を開いた
「マネージャーをやらないか」
その迷いのない声に、思わず唾を飲む
一瞬、黄瀬くんの方を見てしまい、彼と目が合って、みんなの目が本気なことだけは伝わった。
「…。」
黄瀬くんに聞かれた時とは違う、簡単に無理ですと口から出ないこの状況に思わず下を向いてしまう
「ぶっちゃけ、黄瀬よりもお前の中学時代の話は知っている。」
それを踏まえた上だ。と意思の堅い視線に、さらに口が出せなくなってしまった
「…Aっち、気づいてないかもしれないスけど、人の体の変化に敏感なんスよ」
急に口を割った黄瀬くんの声に、思わず顔をあげる
確かに、黄瀬くんの足の変化にもすぐ気がついたし、リレーの時だってそうだ…
でもあれは、みんな気がつくような変化だったはず…と頭の中で考えを巡らせているとリナが口を開いた
「誰も気づかなかったから、あの子が倒れた時黄瀬くんがヒーローになったんじゃないの」
リナは私が考えていることをすぐ読み解いて、私の方を見ながら少し優しい顔で笑った
そんなみんなの期待は嬉しいけれど…「私…。できる自信ないです」と声を漏らした私を見て、
笠松先輩が「いまレギュラーを見てくれてるマネージャーがいてな。3年生なんだ。彼女は受験に専念するために、IHで引退する。」と頭をかいた
そうなるとな…と続ける笠松先輩
「2、3軍からマネージャーを1人上げることになるんだが、やはり経験者じゃない限り難しい部分があるんだ」
「メニューを組むにはさらに勉強が必要だし」
笠松先輩は、白河ならその必要がないだろうと私を見て
さらにその笠松先輩の声に被せるように「話には聞いていたが、この間の練習試合を見てまかせられると確信した。私も賛成だ」と監督が口を開いた
「やってみて、ダメならまた考えなよ」
と背中を押してくれたリナの声に、私は力強く、頷いた。
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作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時