77話 ページ28
Aside
「よーし、んじゃ教室組は解散でいいぞ〜」
伸びをした先生の声が響いて、私も力なく伸びをした
今すぐに帰って布団にくるまりたい
「っしゃーーーーー」
リナも疲れでゆるゆると拳を上げて、私の方を見て「おつかれ」とつぶやいた
今日は…黄瀬くんに会えそうにないなぁ、と心のなかで軽くショックを受けて
昨日まで四日間、凄く濃い時間を過ごしていたから少し寂しくなるなぁなんて考えてしまった
明日は土日なのでさらに会えない。
はぁ、と軽くため息をついた私を見逃さなかったリナは、少し控えめに「校庭…遊びに行く?」と
私の様子を見ながらそんなことを提案してくれた
え、で、でも、と否定をする私だけど
やっぱり会いたいことに変わりはなくて。
「んまーーでも、そんな色々あったなら無理して近づかなくてもいいか」
ふわぁぁとあくびをしながら私に背中を向けてロッカーへ向かうリナに、
私は寂しそうにそう返事することしかできなかった。
じゃ、おつかれ〜なんて言いながら他の教室で作業していた子達が帰っていく
軽く手を振って、私もカバンに荷物を詰め始めた。
海常高校は基本的に、ジャージ登下校は朝練、部活後をのぞいて禁止である。
普段であれば着替えて制服で帰らなければならないが、今日は特別にジャージ下校の許可がおりていた。
帰ろうと思えばすぐ帰れるけど…
やっぱ会いたいなんて思ってみたりして。
そんな私を横目で見ていたリナが私に近づいてきて
「そんなに会いたいなら会いにいく!それだけ!」
と背中をぱしんと叩いた
いつもリナは私の背中を押してくれる。
私はあまり友達に心を開かず、上っ面だけでみんなと仲良くするタイプだけど
リナには、かなり心を開けていた。
不思議だ。
高校でできた友達は一生の友達になれる
そんな言葉を思い出した。
今黄瀬くんがいる場所もわかっているし、走っていけばすぐ会える。
そんなことを思いながらやっぱり踏みとどまって
するとポッケの中でかすかな振動
ブブブブッブブブブッ
「?」
スマホを取り出して画面をタップすると、
『黄瀬涼太』の文字
顔が一気に赤くなるのを感じた。
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作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時