検索窓
今日:19 hit、昨日:6 hit、合計:232,780 hit

76話 ページ27

順調に作業を進めていたら

『きーせーくーん!!!!』

と上から声がして、バスケ部みんなで上を見上げて

「おー、リナちゃーーん!」と叫びながら俺は彼女に手を振った
Aっちのおかげで、すっかりリナちゃんともお知り合いだ。
旗を下ろしているのか、ベランダに数人、女子がいる



あ、…Aっちだ。


なんだか、少し恥ずかしい気持ちになって咄嗟に顔を下げて
「なーにニヤニヤしてんだしばくぞ!」

そう威圧感のある声で俺に叫ぶ先輩だったが、怪我人&病人な俺に、流石に今日は蹴りは入れてこなかった


「それで、なんで彼女はバスケやめたんだ?」

テントを一通りばらし終わり、水筒から水を飲みながらそう問いかけてきた小堀先輩に「俺は、あんまりよく知らないッスけど…」と声を漏らす



本当は割と知ってるけど
でもそれを俺の口から言うのは違う気がして…俺は少し濁して顔をそらした

「あー、なんか、いじめがあったらしくて。」

って笠松先輩!!
俺がせっかくオブラートに包んだのにっっ!!

俺が睨みつけると笠松は、いや、ちがうか、と続けた

「あの中学な、結構強くて全国常連だったんだけどよ
いつかの大会で彼女のシュートが不調になって、負けちまって
そしたらそれが彼女のせい、ってなってちょっと嫌がらせみたいになって怪我までさせて。
まあー…ひどい話だよな。」

そう話す先輩の目は怒りに満ちていた。

「それは…チームではないな」

「間違いなく俺が見た海常女バスと戦ってた彼女は強かったし…、楽しそうにバスケしてたッス。…それを奪った同中のやつらの気がしれねぇっすわ…」

ギリ、と噛み締めた歯が鳴り響いた

この話は、俺も黒子っちから聞いていた話だ。
実際にどこを怪我したとか、どんな風に怪我したかなんて知らない。

ただ、彼女の楽しそうなバスケ姿を見て、俺も楽しいバスケを教えてあげたいって思った。

「たしかに、あのシュートのオチなさは慣れなんてもんじゃないすよね!!」

早川先輩の言う通りだ。
落ちる落ちないじゃない、正確そのものだった。

一体どんな練習をしたらあのシュート率が身につくのだろう。

「3年のマネージャーがな、そろそろ受験勉強で引退したいと言っていたんだ。だから…俺も白河に問いかけてみるよ」

もし、俺が彼女と同じチームで同じベンチで試合をすることができたら

俺は…



…バスケで彼女に何を伝えるだろうか

そんなことを考えて、水を飲んだ。

77話→←75話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
155人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 黄瀬   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。