75話 ページ26
「はーい、テント片すのは男子陣の仕事でーす」
体育祭の次の日。
一応休日扱いで授業はなくて、部活ごとで片付けをするって感じの一日。
終われば午前中に帰れるし、まぁ、疲れた体なんだから学校来るだけで褒めてほしいスけどね…
俺は重いテントをバラしながら、ため息をついた
「黄瀬、お前無理すんなよ」
そう言って俺に軍手を投げてくれた笠松先輩に「大丈夫っスよ、昨日死ぬほど寝たんで」とサラリとスマイルを返すけど、正直きつい。
終わり次第すぐ帰りたい
そう思いながら受け取った軍手を手にはめた。
「そういやお前、昨日女の子助けたんだって?」
せーの、と掛け声をかけながらそんなこと聞いてくる先輩
「それは、Aっちが俺に教えてくれたからっスよっ、」
テントを支えるために語尾が少し力んでしまった俺に、A?と不思議そうに繰り返す早川先輩
俺が説明しようと口を割ったところで、後ろから「黄瀬の彼女」とサラッと後ろを通りながら笠松先輩が爆弾発言をして
「おまえっっ!!!!!」
「ちがっ、!!ちがうっスよ!!」慌てた声を上げてテントをバラした
まだ、な?とニヤニヤしながら俺を見る笠松先輩を少し赤くなった顔で睨みつけていると「あー、噂の白河さんか」と小堀先輩が声を出す
「白河さんって、あの女バスのシューターで一時期騒がれた子だよな?」
そんな小堀先輩に、森山先輩が口を挟んだ
「でも彼女はもうバスケやりたくないんだと」と付け足した笠松先輩に、残り3人がふーんと声をそろえる
ふと何気なしに「俺もマネージャー誘ったんスけどねぇ…」と俺がつぶやくと同時に先輩たちの手が止まって
俺が「え、?」と声を漏らして顔をあげると
「それだ!!」と笠松先輩が声を上げた
「体のことに詳しくてバスケもできるなら最高じゃないか…」
「可愛くて可憐で、高校一年…最高だ」
「一年のマネージャー黄瀬のせいで廃止になったんすもんねぇ!最高れす!」
だんだんはしゃぎ始めた先輩たちに、俺は「森山先輩だけなんかおかしくないスか…」と呆れた声を漏らしながらテントの鉄骨をばらしていく
「でも、俺一回誘って振られてんスよ」
「俺からお願いしても無理か?」
真剣な顔で、俺の横に手伝いに来た笠松先輩に「うーん、聞いてみる価値はあると思うっスけど…」と思わずため息をついて…
あれ?
てか笠松先輩、さっきからなんもしてなくないスか…
155人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時