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62話 ページ13

「よっ!!!!!おつかれさま!!!!」
「カッコ良かった!!!!」

クラスの応援席に戻ると、みんながたくさんの温かい拍手で迎えてくれて

私も少し照れながら「いやぁ、ハハ、ありがとう」と満更でもなく頭をかいた
先に戻ろうと足を踏み出した途端、誰かに手を掴まれた感覚がして
私が振り向くよりも先に、クラスのみんなが驚きの声をあげる

「Aっち、」

振り向いたそこには真剣な黄瀬くんの顔があって
どうしたの、と声をかけようと口を開いたところに黄瀬くんが「ありがとう」と遮った

突然出た彼からの感謝の言葉に私が頭にハテナを浮かべていると、「Aっちが視線で訴えてくれたから、あの子、助けられたんスよ」と黄瀬くんは優しく私の手を解いて微笑む

少し騒がしく上下する彼の胸に走ってきてくれたんだと理解して途端に早くなる心臓の音

「あの子、大丈夫だった…?」

「うん、熱中症らしいッスわ、気づかなかったら結構危なかった」


そう言って私の手柄みたいに言ってくれる黄瀬くんに助けたのはあなたですよと言いたい

私は何もしてないよとつぶやいた私に、首を左右に大きく振る黄瀬くんは
「ほんとありがとう、それだけッス」と手を軽く振って私に背中を向けた

感謝したいのはこっちなのに、私がありがとうと声を出すよりも前に彼は走っていってしまって

小さくなる黄瀬くんの背中を眺めながら、心臓が締め付けられるのを感じた

幸い、黄瀬くんのファンだからと私を敵視するような人はうちのクラスにはいなくて

なんかあった?と優しく私に声をかけてくれる子たちばかりだった





黄瀬side

Aっちに見惚れていた、なんて言えるわけもない
ポニーテール似合うなぁなんて思っていたら突然彼女が慌てた様子で周りを見渡していて

見たこともない彼女の深刻な顔に、何かあったのかと顔から血が引けていくのを感じた

何かおかしい、そう思った瞬間すぐにバトンが手に渡ってしまい、俺はすぐに気がついた

俺はなりふり構わずレーンに飛び出していて

そんな俺の目の前で赤いハチマキの女の子は意識を飛ばした
本当に危なかった。
先生も、クラスメイトも、よくやったと俺を褒める。
俺の手柄だと思っているかもしれないけど…あれはAっちの手柄だ。

何もなくて本当によかった…ッスよ

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 黄瀬   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時

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