473話 ページ32
真ちゃんは、泣き崩れていた俺を人のいない外へ誘い出してくれた
「落ち着いたか」
いつも通りのテンションで、俺に特に理由も聞かずにいつのまにか買っていた缶ジュースを差し出してきて
俺はそんなこいつに全て見透かされたのが悔しくて、お礼も言わずに缶ジュースを奪い取って蓋を開けた
そんな俺を見てまた嬉しそうに口角を上げてきて
ちょっと照れ臭くなって顔を背けたときに流れた汗が
擦った頬に少し染みた。
「今回は、俺も柄にもなく試合前の余裕がないのだよ」
柵のようなものに手をついて前を向いた真ちゃんの横顔は、いつもに増して綺麗だった
「おそらく今回も、お前がいなければ勝つことはできない」
真ちゃんが口にした言葉が俺の心をさして、俺は思わず目を見開いて缶を口から離した。
「高尾、俺達が緊張する必要などないのだよ。人事は尽くした。」
真ちゃんが柄にもなく優しい笑顔を見せたと同時に風が吹いて
「あとは神が俺たちを導いてくれるかどうかだ」
真ちゃんの言葉が風とともに真夏の青空に消えていった。
「そーだな。」
俺も釣られて、2人で顔を見合わせて笑った。
真ちゃんがこの日くれたこの味は、きっと一生忘れることはないだろう
それくらい、俺にとって大事な出来事だった
少し夏の風を楽しんでいたら真ちゃんが小さく深呼吸をして口を開いて
「…俺は、高校でバスケを辞める」
そう、口を動かした。
一瞬のことで俺もあまりよく分からなくて
思わず「は?」と聞き返してしまった
真ちゃんは着いていた手をそっと離して体ごと横を向いて、「もともと両親とのそういう約束だったのだよ」と切なそうな顔をした
「…いつか、お前に言わなばならないと思っていた」
真ちゃんが瞬きするたびに長いまつ毛が揺れて、緑色の瞳に自分が写っていて
真ちゃんにとっての自分の存在が大きかったことに気が付かされた
「…それって、…、ウィンターカップは、、」
「ばか、早まるな。ちゃんと出るのだよ」
俺の慌てた質問にメガネを整えた真ちゃんは、「…ただ、…今ほど本気で向き合っていられるかどうかはわからん。」と儚い声で続けた。
「…真ちゃん、」
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りん(プロフ) - 湊さん» めちゃくちゃ今更すみません!!このコメント見て調べて声出して笑いました笑笑笑笑ご指摘有難うございます!!書き換えるのしんどいのでこのまま行きます笑本当に有難うございました笑笑 (2021年1月3日 3時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - インターハイ編って黄瀬達三年生ですよね…?氷室さん一つ年上なので卒業してますよ…? (2020年12月18日 14時) (レス) id: ef148efd04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 11時