切り取られた奇跡 [末ズ] ２

近づく雨雲 ページ9

「○くん・・・恋人いたんだ。」

俺は平然を装えているのだろうか？
○くんに拒絶されれば、俺は生きていけるのだろうか？


「はぁ？なにいってんだよ。(笑)
リコ以外の女性は愛せねぇよ。

嫁さんって言ったから勘違いさせたのか？
ハハハわりぃわりぃ。男だよ。
同居人。和もなついてっしな＾＾
今度紹介するよ。ビックリするぜ？」


・・・恋人じゃないのか。
はぁ。すっげぇ疲れた。

「そっか、そうなんだ！よかったな和。」

和を見やると、嬉しいと言うより、戸惑うように目を泳がせた。

「ほんとは、○くんとも家族になりたいんだぜ？こんなにアプローチしてんのになびかねぇんだよなぁ。」

・・・へっ///

こんなに愛してんのになぁ。

と本気なのか冗談なのか、そう言って、笑う○くんの顔を見ることができず、うつむいてしまう。

「○ちゃん耳まで真っ赤(笑)」

和は、そう言って笑いながら、
○くんの横に座った。

「いただきます！
ほら、○くんも遠慮しねぇで食え。」

優しい味付けが、俺の体にしみわたる。

「・・・旨い。」

「美味しいですね。
あっ。雨。僕傘持ってくね？」

美味しそうに頬張る和は、窓の外を見ると、
不意に立ち上がり、○くんにそう言うと、パタパタと玄関にかけていった。

「・・・持ってくって、どこに？」

「ふふ。やっぱ嬉しいんじゃねぇか。」

そう言って立ち上がると、和の後を追い、

「午後からは、引越し手伝ってやるって○に言っといてくれ。」

と、声をかけた。

・・・○？

・・・引越し？新しい家族？同居人？

忘れていた胃の痛みはぶり返し、
キリキリと俺を追いつめていた。

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