切り取られた奇跡 [末ズ] ２

近づく雨雲 ○ ページ7

〜♪〜♪〜♪

ん？携帯の着信音で目が覚める。
見上げる時計は、６時。

今日は予定日の患者さんいなかったはずだけど。急患かな？

急いで、相手も確かめず電話に出た。

「はい。『おっ？起きた？○くんおはよう。』」

俺の声にかぶせるように聞こえてきたこの声は、○くん？

「おはよう。朝から電話なんて珍しいね。
もしかして、具合悪い！？」

『なんだよ。俺の声で目覚められて幸せだろ？』

えっ///そりゃまぁそうだけど。
朝からご機嫌な○くん。酔ってる？

『言っとくけど、酔っぱらってねぇからな？
ちょっと良いことがあったんだ。』

語尾をあげて喜びが電話越しにも伝わってくる。

「なに。良いことって。」

『○くん朝飯まだだろ？すげぇ旨いから食いにこいよっ。待ってるからな♪』

そう言うと、一方的に電話を切られる。
朝飯？なんだ？和が作ったのか？

まぁ。せっかくだし朝から和の手料理ご馳走になるかな。

ベッドを抜け出し、バスルームへ向かう。

そう言えば、昨日の昼からなんも食ってない。
そのせいか、キリキリと胃が痛んだ。

鏡の前で、胃の辺りをさする。

毎年、この時期はストレスで胃腸をダメにしてしまう。きっと今年はいつもより酷いだろう。

・・・○。

隠しても隠しても、剥がれ落ちてしまうのだろうか？

……ｷﾘｷﾘｷﾘ

っつ。こんなのどうってことない。
和を抱きしめ、○くんと笑って酒でも飲めば
痛みなんて感じない。

頼むよ。頼むよ神様。
もう俺たちは家族なんだよ。
苦しむのは俺だけで十分だ。

そう心のなかで祈りながら、冷たいシャワーを頭から浴びた。

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