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25.もっと早くに…… ページ26

廊下の角を曲がって教室へと飛び出した瞬間、


「きゃっ」


ドンッという衝撃になんとか耐えて、はっとする。そこには同じく知り持ちしないように踏みとどまる水色さんがいた


上月(こうづき)さん……?」

「ご、ごめんなさいっ」


がばっと勢いよく頭をさげ、「うえぇっ?!」と彼女が驚く声がする。さっきぶつかったときのようなThe 女子って声だけじゃなくて、こんな声も出すんだと変なところで感心する

「顔をあげてっ」と狼狽える水色さんに恐る恐る顔をあげると、そこには苦笑している水色さん


「大丈夫だから」


うそ、大丈夫じゃないくせに……。見間違いじゃなく、痩せたというよりやつれた水色さんを見て、もっと早く行動すればよかったと後悔の念に駆られる

もう一度謝ろうと口を開く。だが、それよりも早く水色さんが話しかける


「それより、上月(こうづき)さん、どうしてここへ?」

「え、いや……」


ん?と小首を傾げる姿も可愛い……。じゃなくて、見たところ彼女が怪我をしている様子はない

今日じゃなかったのかな……。そのことに安心しつつ、まだ首をかしげる彼女になんでもないと伝える


「今日の水泳部の練習は中だったのねえ」

「うん。部長が鍵失くしちゃって、暫く筋トレ」

「あ、それは辛い」


途切れることがない会話。話しやすい……

10cmほど身長が低い彼女は私よりもずっと小柄で、こんなに小さいのに全部背負い込んでたんだよなあとぼんやり思う

ころころと表情を変えて楽しそうに話す彼女に私も自然と笑みがこぼれる



階段に差し掛かったところで、ぴたりと水色さんが止まった

どうしたんだろうと見上げると、とても真剣な顔の彼女


上月(こうづき)さん、あのね」

「……うん」

「あの、その、私っ」


そう叫ぶように声を上げた彼女の後ろに人影が見えて、咄嗟に手を伸ばす


「水色さんっ」


気づいた水色さんが振り向くも、遅い。どんっと悪意が籠ったてのひらが彼女の背中を押す

私は必死に手を伸ばし、そして______。

26.常と非→←24.虚勢



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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時

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