【黒子のバスケ】もしも、あの日、あの時に......

17.憧景 ページ18

浮かれていた私に冷や水を浴びさせてきたのは工藤さんだった


「え、今なんて？」


相変わらずへらへらぎこちない笑みを浮かべる私に、工藤さんは心底面白くなさそうに顔をしかめる


「だから、あの女をはぶるの。声かけんじゃないわよ」

「な、なんで？」


あっと思った時にはすでに遅い。こういうときは思っても素直に従っていた方がいいのだが、最近いいことがあってそこら辺が緩くなっていた

でも、工藤さんはあまり気にしていないようで忌々しげに話す


「あの女、ついに赤司様にも手を出しやがった。ついこの間まで先輩と付き合ってたくせに」


親指の爪を噛みながら舌打ちをする彼女には、黄瀬に媚びるような姿はない

ていうか、その情報遅くない？水色さんと赤司くんが付き合い始めたのは確かに最近だけど、それも一か月前の話だ

私は紫原くんから聞いたり、黄瀬の様子から察したりしていたが……。意外と彼女の情報網はたいしたことないのかも

そう思っても、口には出せないけど。とりあえず、きせりょファンの彼女は黄瀬にあんなに言い寄られているくせに全く相手にせず、あまつさえ他の男子と付き合うことが許せないらしい

しかも、相手があの赤司財閥の御曹司なのでなおさら……



と言っても、あまり驚きはしない。だって、意外でもなんでもないから

確かに水色さんはバスケ部の先輩と付き合っていたが、なんとなく水色さんの周囲が騒がしいから彼女を守るためっぽかったし。一緒に帰るところを何度か拝見しているが、あまり恋人って感じでもなくて

まあ、水色さんが落ち着いており、かつ付き合っている人が先輩のためもあるかもしれなかったのだが……

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