『黒子のバスケ』flag建設少女Ｘの憂鬱『トリップ』

葛藤 ページ16

『まぁ、そんな保障ないんだけどさ・・・』


黒子が走り去った後、誰にも聞こえないくらいの声でつぶやいた


『大体、私一人が何か言ったところで未来なんてそう変わらないか』


この呟きは、誰にも届かない


『っていうか、なんであんな無責任なこと言っちゃったんだろー・・・』


誰に話すでもなく、しゃべり続ける


『あぁ、あれか・・・未来知ってんのにそれを教えないっていういやな奴になりたくないからか』


ペラペラと、ブツブツと


『じゃぁ、さっきのは黒子のためじゃなくて自分のためか〜』


のどがカラカラになっても、止めることはない


『以前黄瀬に最低とか言われたけど・・・その通りだったな』


キィ、キィ・・・と、斜めに傾けているイスの足が鳴る


『そもそも、かかわらなきゃよかった話なのに・・・なんでこうなったんだっけ』


上体を後ろ向きに仰け反らせて、天井を見上げる


『・・・そうだ、さつきを助けたのがきっかけだっけ・・・』


机に引っ掛けていた足を放して、勢いよくイスを戻す


『いや、さすがにあれは見て見ぬふり出来ないよな・・・あとはなんだろ』


しばらく動きを止め、ガタンッ、と音をたててイスから立ち上がる


『考えるだけ、無駄か・・・帰ろ』


その場に残されたのは、横向きに倒れた一つの椅子だけ―――――――――――

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