晴れ時々、かなり晴れ【逆先夏目】 (ページ13)

今日:25 hit、昨日:12 hit、合計:11,148 hit

13.家族旅行-1 ページ13

「夏目も呼ぶの？」
「アラ～いいじゃないあなたいつも迷惑かけてお世話になってるんだからそれくらい」
「いや別に嫌じゃないけどさ…忙しいんじゃないかなあ」

■

「そういうわけで夏休み、嫌じゃなかったらうちの家族旅行に来ませんか」
「いいヨボクも沖縄行きたいシ」
「え！ガチ！やった～！！ママに連絡入れとくね」

　Aは母親へ「行けるって！😁」とメッセージを飛ばし、「日程だけ決めといて」と帰ってきたメッセージにOKスタンプを返した。

　夏休み、学校は基本的にお休みで、プロデュースも練習も8月の後半はかなり少なくなる。ユニットの自主練習ならあるが、それも全員の都合がつく日に限られるし。
　今年のA家の旅行先は沖縄らしい。今年の、というかAママが大の沖縄好きなので昨年も一昨年も沖縄に行っているのだが、それはもういい。
　了承を得たので、早速だが二人は向かい合わせに座っていつにするかを決め始めた。

「学校終わるのが27日でしょ、だから～ここらへん？」
「行けル。用事あったけど休もウ」
「めちゃくちゃ乗り気なのしぬ」
「何泊するノ？」
「三泊か四泊か」
「結構行くネ」

　それから二人は、ここ行きたいこれ食べたいこれやりたい、なんて言いながら沖縄へのモチベーションを上げていく。後にAが挨拶しに行った逆先ママは「まあまあ夏目がお世話になります」と言って、もう着ないサンドレスを2着と、綺麗な色のレイをAにくれた。何でこんなものがすっと出てくるのかしら、とは思うが嬉しいプレゼントなのでAは「マミィだいすき！♡」と感謝を伝えておく。
　逆先ママは「可愛いわねウフフ」と笑って頭を撫でてくれた。彼女はいつも、高そうだけど知らない名前の香水を付けている。Aはその香りが好きだった。それを逆先に言えば、「香水の違いなんて分からないくせニ」と笑われるのだが。

　ところで、逆先ママだけ仲間外れで可哀想だなんて言われるとたまったものではないので弁解しておく。
　元々は逆先家も一緒に行けないの？とAママから逆先ママへと打診済みである。しかし逆先ママが忙しくて無理そう、と言うので、それならせめて夏目くんだけでも来なさいよ───ということで、A家の家族旅行に夏目だけが着いてくることになったというわけ。

　このとき逆先ママが来れなかった埋め合わせは、いつかの春休みでされることになるがそれはまた別の話である。