39 追憶/ 一瞬の出来事 ページ39
.
零先輩、渉くん、奏汰くん、宗くんと話したのは昼休みが終わるまでのほんの十数分だったけれど、Aにはそれがもっと長く思えた。
夏目がもう昼休み終わル、と声をかけるまでは渉くんのマジックにもっと見せて！と食らいついていたし、その度に変なリアクションをして零先輩にからかわれ、宗くんに騒がしいと怒られた。奏汰くんはぷかぷかしたまま。
「じゃあね！またここに来ていい?」
「お〜来い来い」
「とか言って、零はまた海外に行っちゃうじゃないですか」
「ま〜な。だから、俺様ちゃんに会えるのは期間限定だぞ〜♪」
「へーそうなんだ。渉くん！次会ったらまた鳩出してね！」
「おい出禁にすんぞ」
「もちろん、お気に召すままに」
不機嫌そうな零先輩とは対照に、ウインクをする渉くん。
後ろにいる2人にも手を振ると奏汰くんは返してくれたけど宗くんは目を閉じただけだった。
夏目はシュンスケくんの事もあるしと教室まで送ってくれた。
「夏目の友達もやっぱり面白いんだね！」
「キミが気に入ったのはししょ〜だけでショ。シュンスケ君の事、すっかり忘れてたみたいだシ」
「あ、そういえばそうだ」
「馬鹿はいいよネ……ヤな事あってもすぐ忘れられるんだかラ」
「…なんか夏目怒ってる?」
トゲトゲしい態度に、さすがのAでも夏目の様子が違うことに気づく。いつもの彼はAを馬鹿だと思ってもこんな直接は言ってこない。
思っていても、Aを傷つける言葉は言わない。
「別ニ?」
「あ、そう」
「…」
「…夏目、私バカだから人の気持ちとかよく分からないし、気づいたら怒らせたりしてる。だから、…なんていうか、夏目はちゃんと、言ってほしいよ」
何で怒ってるのか。そうじゃないといつか、歩いただけで人を攻撃しちゃうかもしれない。目を合わせただけで苦しめちゃうかも。そんなの嫌だよ。夏目は友達だから、そんな事したくない。
ギュッと、夏目の手首を掴んだ。
夏目はそれを見て何かを思ったのか口を開きかける。
「…嘘をついたらじゃなくテ、不安になったら掴むのがキミの癖みたいダ」
「…?」
「ごめんネ。どっちにも嫉妬しただけだヨ」
「嫉妬?」
Aが聞き返すと、意味ありげに微笑んだだけだった。
「『キミは、何役なんだろうね』」
この物語に必要な存在なのかな。
嗚呼、ただの脇役であればいいのに。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 491人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは！コメントありがとうございます！新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…！楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かげやま
| 作成日時：2022年4月2日 0時
