31 追憶/ 部活紹介 ページ31
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「夏目いるから入る」
「…だってサ」
「右京Aちゃん、じゃなくて…Aちゃんって呼ぶね。は、ゲーム好きなの? 見た感じやったことなさそうだけど…」
「ないよ!ゲームなんて買ってもらえなかったし…小さい子は欲しがってたけどね」
「ああ、確かAちゃんは施設出身なんだっけ」
「…何で知ってるの?」
施設出身だということは隠してもないけど公表もしていない。
それにAはまだ知名度こそあるものの調べたらぱっと出てくるほど情報を出していない。テレビや雑誌の仕事を受けていないから。
Aは無意識に疑心的な目をうきくんに向けていた。
それに慌てたうきくんが両手を振った。
「ご、ごめん!初のテスターだなんて騒ぐからきみのこと調べたんだ。不快な気持ちにさせてごめんね…!」
「へえ…」
「その顔は何なノ」
「私が私のこと調べても何も出てこなかったのに、よく調べたなぁって思ったの」
「得意なんだ、そういうの」
と笑ううきくんの表情は、どこか寂しげだった。
「暇な時に遊びに来てね、ゲームのこと色々教えるから」
Aはその言葉を有難く受け取って、夏目と部室を出る。
あとはAが入部届けを出せば入部完了だ。
「ありがとう夏目!これで陣くんからうるさく言われなくて済むよ!」
「こっちとしても廃部寸前だったシ、助かったヨ」
「そう? あ、ねえ明日の昼休み夏目のところ行っていい?
明日ね、スバル昼休みに呼ばれてて…」
「明日はちょっと厳しいかナ。先約があるんダ」
「えー…なら仕方ないかあ」
スバルがいないとすぐに先輩たちが絡んでくるから夏目のところに行こうと思ってたけど、その夏目もダメらしい。
シュンスケくんでもいいがあの人と長時間話すのは良くないと察しつつある。どうしようか。
「…A、」
「ん?」
「さっきの話だけド。…あんまり変なことしないでヨ」
「夏目…」
「深くは聞かなイ、でも心配はすル。
…じゃ、早く帰ることだネ。『気をつけて』」
そう言って、夏目は昇降口から離れて行った。
( 心配してくれた )
Aは嬉しくて顔を綻ばす。
先ほど夏目に流された時、何も言ってくれないのかと悲しくなった。でもやっぱり夏目は心配してくれているらしい。
「♪」
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは!コメントありがとうございます!新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…!楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2022年4月2日 0時