30 追憶/ 部活紹介 ページ30
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「…何にも、ないよ。夏目がそう思っただけでしょ?」
嘘だ。
と、夏目にはすぐに分かった。
絡まれた腕が力強く握られたから。
( …嘘をつく時には何かを握りしめるタイプ、)
しかし今の夏目にそこを掘り下げる資格なんてない。
そもそもAと仲良くなろうと思ったのも自分の利益のためなのだから。
「そうだったみたいダ」
「!」
「…さァ、ゲーム研究部の部室に着いたみたいだヨ。ここまで長かったけど無事に着いて良かっタ」
「うん…」
少し残念そうな顔をするA。
そんな顔をするなら嘘なんてつかなきゃいいのに。
夏目はAを無視して、部室のドアを開けた。
そこにはある人物がピコピコと音を鳴らしてゲームをやる姿が。想定内だ。
奥まで入ると、WINと表示された画面が見える。
そしてそこに座っている男子生徒が振り向いた。
金髪で青いメガネをした男の子。
「ん? 逆先くん、と…きみ、右京Aちゃん?」
「そうだよ、あなた誰?」
「あ、えっと、初めまして。僕は遊木真っていうんだ」
「うき? うきくん? 私と名前似てるね!」
「いや“うき”じゃなくて“ゆうき”、」
「それ何のゲーム?」
「え…何この子話聞かない…」と若干引きつつある遊木真、うきくんの隣に座り込むA。夏目はそれを止めるわけでもなく両腕を抱えて突っ立っていた。
「これでこの人を操作するんだ」
「そうだよ。コンピュータが相手になるから…って違う違う!逆先くん、この子は…?」
「今日から入部する右京Aだヨ。仲良くしてあげてネ、『うきくん』♪」
「あ、ああ…。この前は明星くんに声かけてたけど、次はこの子なんだね…」
「ちょうど部活に迷ってたみたいだかラ。
A、ゲーム研究部に入ってくれル?」
Aは適当なボタンを押しながら「うん」と頷いた。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは!コメントありがとうございます!新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…!楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2022年4月2日 0時