35 追憶/ 一瞬の出来事 ページ35
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「…私、夏目のとこに行く」
「え…」
「じゃあね!」
「ちょ、ちょっと待って…!Aちゃん!」
夏目がどこにいるかなんて知らない。
あの部屋にいないことは確かだろう。だから今、Aは当てもなくただ走り出していることになる。
ただでさえ夏目に会えないのに、どうして今日はこんなに運がついていないんだろう。
( …ていうか、)
「何でついてくるの!」
「だ、だって、Aちゃんがっ、アイツの所に行くって…!」
「シュンスケくんに関係ないじゃん!」
「でもっ……う、Aちゃん、足速い…!」
「もうついてくるのやめて!」
全速力で校舎を駆け抜ける。それでも負けじとついてくるから足を止めることが出来ない。
( このまま秘密の部屋に隠れたいけど追っかけて来るから部屋のことバレちゃう…!)
どうしようどうしよう、と行き場もなく走ってるうちに外に出た。木や花、植木が多く、まきやすそうだ。
Aは更にスピードをあげて、わざと変な道に入ったり穴に入った。
ガサガサ
「っ…!」
木と植木を潜り抜ける手前、根っこに足を引っかけて綺麗に地面と挨拶する。
「ぐへぇ!」なんて色気もない声を出した。
「なんだァ?」
「なっ…A?」
「おや?」
「騒々しいね」
「ころんでますね〜?」
黒、赤、空色、薄桃色、水色。
「夏目…!痛い〜っ!追っかけられたのー!」
そして、黒。
これが五奇人と右京Aの出会いだった。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは!コメントありがとうございます!新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…!楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2022年4月2日 0時