226 専用衣装/ 友達以上〇〇未満 ページ26
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カウンターの隅に座ってメニューをゆっくり開いた。
周りにはほとんど人はいない。おそらく今は朝からお昼の間だから、これから混んでくるに違いない。
「ここはESビル関係者しか来れないからあまり気にしなくて平気だヨ」
「そ、そうなんだ…」
「…サラダのドレッシング抜きとかから始めたらどウ?」
「うん…そうしようかな」
よく分からないけど夏目が言うならそれが正しいんだろう。
夏目はAのサラダとアイスティーを頼んでメニューをしまった。
「夏目もご飯食べるんじゃないの?」
「ボクが食べたらキミに匂いが行くかラ」
「あ…そうか、ごめん…」
「…、映画の撮影はどんな感じなノ」
「え? …普通だよ。でもちょっと怖い」
「どうしテ?」
「…そっくりなんだ。私の演じる役の子と、昔の私が。
たまに撮影が終わってても抜けきれなくて愛想悪くなる」
実はクイズ番組の撮影後マネージャーさんを別の人にしてもらったのだが、雑誌などの撮影が終わった後に「今日は珍しく笑えてませんでしたね」と指摘されたりすることが多くなった。
笑えないことなんて有り得ないのだ。実際は笑えていても明るさや可愛らしさがない、昔の自分みたいになっている。
「朔間さんだって昔とそっくり。…たまに零先輩って呼びそうになるよ」
「呼んだら零にいさんは喜びそうダ」
「…からかってるんだよ。私のことなんて…好きじゃないくせに。あんずを選んだくせに…」
おまたせしましたー、と店員さんが目の前にサラダを置くのを見てハッとした。いけない、夏目の前で言うことじゃなかった。
「ハイ」横から渡されたフォークからゆっくり夏目の顔を見る。
彼は頬杖をついて何ともない顔をしていた。
「何。食べないノ」
「た、食べる……」
「── 宗にいさんガ、会いたがってタ」
「…っ」
「子猫ちゃんの名前を聞いて思い出したヨ。キミの専用衣装を作りたいってネ」
手が震えるのはサラダを目の前にしたからか、宗くんの名前が出たからか。夏目までそんなことを言うの。会えって?
「夏目は、宗くんに作ってもらった方がいいって…思うの?」
「さァ? ボクはキミの専用衣装なんてどうでもいいモン」
「そ、か…」
「だけど宗にいさんはどうでもよくないんだろうネ」
「…」
「キミだけの衣装を作りたいんだヨ」
( …泣きそう )
自分だけの衣装を欲しいとは思わない。
でも、
宗くんは、昔の右京Aしか知らないから。
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かげやま(プロフ) - 名無し62063号さん» コメントありがとうございますෆ ̖́- 長かったですよね、うれしいです（ ; ; ）！めちゃ重すぎてドン引かれないかドキドキしてたのでそう言ってもらえて安心しました…笑 更新頑張ります🥺💞 (2023年1月9日 22時) (
レス) id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
名無し62063号(プロフ) - 一気にここまで読んでしまいました、、。主人公ちゃんの設定がめちゃ重いのがとても好きです！！更新楽しみにしています。 (2023年1月8日 1時) (レス) id: 45bc00c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年12月2日 0時
