227 専用衣装/ 友達以上〇〇未満 ページ27
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「ねえまって夏目、まってよ、無理だって…！」
「…」
「夏目！」
今以上に夏目の後ろ姿に不安を感じたことはないだろう。
カフェまでの道のりのようにAの手首を掴んで、早足に歩いていく。Aがこれほど焦っているのは「そんなに文句があるなラ、本人に言えばいいんダ」と悪意しかない笑みを浮かべた夏目を見たからだ。
この言葉通りなら、夏目は今宗くんがいる場所に向かっていることになる。
心の準備が整っていないのに…！と心臓はバクバク動いて仕方ない。
( あの優しい夏目はどこにいったの? 私のこと嫌いになったからこんなに冷たいの? )
文句なんてない。宗くんに対して抱いている気持ちは言ってしまえばトラウマそのもので、あの時何もできなかった申し訳なさで溢れている。
そうこう考えている内に連れて来られたのは、ES内にある
「衣装ルーム……」
「ボクの予想が正しければここにいル」
「…」
「…A、俯かないデ」
「……会いたくない」
「…」
いつの日か、偶然みかとぶつかった日が蘇る。
あの日のフラッシュバックがまた起こるに違いない。
みかとはボタンの約束を交わすことができたけれど、宗くんはそうはいかないだろう。
あの宗くんが崩れ落ちて泣き叫ぶ姿は、
「── A！」
「っ、ハ…ァ」
「大丈夫だかラ…。宗にいさんはAの事を嫌いになったリ、怒ったりしてなイ」
「…」
「Aに会いたいと言っているのがその証拠だヨ」
「…だけど宗くんを見たら、絶対に今よりももっと…しっかり記憶が浮かんでくる…！」
自分でもこんなに怯えているなんてと驚いている。
手だけじゃなくて肩まで震えて、「どうしてこんなことするのなつめ」と泣きそうだ。
( さっきサラダなんて食べたからモノも出てきちゃいそう )
「っ…A、ボクの目を見テ」
両手で顔を上げられた。夏目のAと少し違う黄色い瞳と目が合う。
「なつ─」
「『ボクがずっと隣にいるから、そばにいるから。キミを1人にはしない。だから、…泣かないで』」
「──…」
夏目の瞳が揺らいで、少ししてから下へと目線を逸らされた。同時に手も離される。
( …? なんだ、…震え止まってる )
「落ち着いタ?」と聞かれて首を縦に振ると、夏目は寂しそうに笑ってから「じゃあ行こウ」と前を向いた。
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かげやま(プロフ) - 名無し62063号さん» コメントありがとうございますෆ ̖́- 長かったですよね、うれしいです（ ; ; ）！めちゃ重すぎてドン引かれないかドキドキしてたのでそう言ってもらえて安心しました…笑 更新頑張ります🥺💞 (2023年1月9日 22時) (
レス) id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
名無し62063号(プロフ) - 一気にここまで読んでしまいました、、。主人公ちゃんの設定がめちゃ重いのがとても好きです！！更新楽しみにしています。 (2023年1月8日 1時) (レス) id: 45bc00c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年12月2日 0時
