【あんスタ】不仲の話。【男主】

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他のユニットが盛り上げた、お客さんのボルテージはMAXだ。昨日の今日にも関わらず、やはり推しが歌って踊っているのを見ると興奮してしまうらしい。

( それを崩すと思うと、少し緊張するな )


とうとう次が“liT”の出番だ。
Aの後に控えてる晃牙が「気張れよ」と声をかけてくれたおかげで、幾分楽になっている。
友達の言葉ほど助けられるものはないよなーと偽善じみたことを考える余裕もある。いける、はず。

チラ、と瑞生を盗み見る。
朝から一緒にいるけれど、特に変わった様子はない。
いつも通りすぎて少し怖いくらい。


「A先輩…！」

「翠くん」

「見ました…昨日の……よかったです。俺信じてなかったんですけど、…A先輩が心配で、」

「ふふ、ありがとう。何とか大丈夫」

「…髪の毛似合ってます。ドラマも毎週観ますね…！」

「嬉しい！」


Aが笑うと、翠は照れながら笑い返した。
彼もすぐに出番があるからと立ち去ってしまったが、Aは嬉しさを抑えきれず頬が緩みっぱなしだ。

そういえば髪の毛を変えてからライブ以降メディア露出はなかった。
反応が楽しみだな、と暗い気持ちが少し晴れやかだ。


「何、気持ち悪ぃな」

「んーん！頑張ろうね、瑞生」

「…おう」

「“liT”さん、出番1分前でーす！」

「はい」


身だしなみを整えたり、声出しをしたり。

そんなことをしてるとあっという間にカウントが始まった。
0、と同時に鳴り出す“liT”お馴染みのBGM。

黄色い声が聞こえたことに、少し安心した。


「《こんにちは！橙条Aです 》」

「《天堂瑞生》」

「《2人合わせて“liT”で〜す！》」


本来ならここで歌が始まるはずだ。
しかし今日は違う。




「《みなさんに、お伝えしたいことがあります》」




聞いてください。






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