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いたずら ページ13

「旦那は随分こちらのお嬢さんを気に入っているようだが……お嬢さんお名前は?」

『Aです』

「お、響きの良い素敵な名前じゃあないか。今日初めて会ったが……前までは何をしていたんだ?」

『旅人として各地を転々としていました。ですが正直に言うと……金欠で。その時ディルックさんがこちらの仕事を紹介してくださったんです』

「紹介なあ……」



ガイアはにこりと笑った。



「じゃあ今度モンド城の中でも案内しよう。とっておきの場所を知ってるんだ。旅人なら知ってて損はないと思うぜ」

『本当ですか!』



Aは嬉しさで目を輝かせた。



「他に冒険者協会以外でも依頼を受けられる場所があるぞ」

『ガイアさんは物知りですね。お客さんなのに、わざわざありがとうございます』



Aは最初、ガイアを警戒していたが今は一人の人間として接していた。その時、



ドンッ……!!



「……午後の死です」



ディルックから何故かただならぬ殺気に似た気配が。

その様子に気づいたAはうかがう様にディルックを見る。



『ディルックさん……?』

「どうした旦那様?まさか、酒の飲めない旦那様が午後の死を飲みたくなったのか?」



Aは『え……?』とディルックの手元を見る。

ディルックは片手に赤ワインが入ったグラスを持っている筈だが……



「知ってるか。旦那はワインと見せかけて実は「酒は僕でも飲める」



するとディルックは棚からワインを取り出し、新しいワイングラスに並々とワインを注ぐ。

そしてぐいっと一気に飲み干した。



「わお……」



ガイアは驚く。



「……まさか、そこまでやるとはなあ」

「っ……だから飲めると言っただろう」

『凄い……ディルックさん豪快ですね!』



Aはディルックが気力で意識を保ち立っている事を知らなかった。

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作者名:きの | 作成日時:2022年6月8日 22時

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