頑張ります! ページ11
「おや」
廊下を歩いていた鬼灯は中庭で起こっているカオスな状況に声を出した。
最近、鬼灯の補佐という閻魔大王の監督役をやりはじめた年端もいかぬ少女が踊っていた。
……無数の金魚草たちと共に。
その光景を見ている間にも「おぎゃぁぁ、ぎゃああああ」といつもより穏やかに鳴き続けている金魚草。そしてその中心で声色は少し違うが同じように鳴く自分の部下。
「何をしているんですかAさん」
「あ、鬼灯様!私、頑張りますね!!」
声の主の姿を見つけて駆け寄ってきた少女はそのままの勢いで鬼灯に飛びついた。
それを避けようとしない鬼灯はAを信頼しているという事なのだろう。
「ええ、頑張ってあのアホ…いえ、大王にしっかり仕事をさせてくださいね」
「はい!!」
そのまま抱き付いていると「いい返事です」といって頭をなでてくれた。
「閻魔様も頑張りましょうね!!」
その日からより一段と監視を強めたAであった。
そして、簡単な仕事なら任せてもらえるようになった。
「鬼灯様!この書類をまとめ終わりましたよ!!」
与えられた仕事を持って鬼灯のいる部屋へと行くと部屋の主は机の上の紙の山に埋もれて突っ伏していた。
「やっぱり鬼灯様は忙しいんですね。もっと私も頑張らなければ…」
誰にも聞かれることのなかった少女のつぶやきが部屋に消えてからかなりの時間が経った頃、鬼灯は目が覚めた。
紙の山を最後に意識を飛ばしていたのに目が覚めた今、山はない。
部屋を出ると大王が必死に働いていた。その横でAがせかせかと書類をいろんな部署の代表へと説明と共に手渡していた。
「Aさん、何があったんですか?主に大王が働いてることについて」
「大王はやればできる偉い人なんだから一緒に頑張りましょうといっただけですよ?」
とあっけらかんと答えた。
「なるほど」
ムチ(鬼灯)ばかりだったからアメ(A)の言葉にとてつもない効果があったのだろう。
「あ!芥子さん!!朝早くからありがとうございます!これ美肌効果のある草ですどうぞ!」
「うさぎは夜行性だからいいのよ ありがとう、これで毛艶がよくなるわ」
いつの間に芥子さんと仲良くなったのだろうか。
「うふふっ、ふさふさのモフモフですねぇ」
「鬼灯様はちゃんと休めましたか?」
「ええ」
「それはよかったです!私は水飲んできますね!」
そういって笑顔で走り去る少女を鬼灯は少しの間見ていた。
「大王!サボるな」
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toratora10(プロフ) - シリアスにならないで欲しいな。金魚ちゃんに幸せを!! (2019年6月7日 15時) (レス) id: 666f1a834c (このIDを非表示/違反報告)
漬物うまい - 何これ神作品金魚草の小説無かったから凄くいい! (2017年12月23日 3時) (レス) id: 4fe65bab45 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 夢主が金魚草という独特の発想、面白いです。更新応援しています。 (2017年10月19日 18時) (レス) id: 458361e9e1 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 凄く面白いです。私、金魚草がキャラ(はたして金魚草のことをキャラと呼んで良いのでしょうか)の中で一番好きなのでこの作品を見つけることが出来て良かったです。応援してます。これからも頑張ってください。 (2015年3月2日 19時) (レス) id: 665c15b549 (このIDを非表示/違反報告)
160cmのエノキ(プロフ) - 変わった設定に惹かれました!続き楽しみししてます!! (2014年9月16日 14時) (レス) id: 50f97632ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭兎 | 作成日時:2014年3月4日 23時