【鬼灯の冷徹】金魚草が少女になりました

近況 ページ10

「みーんーなー！脳ミソ汁って知ってる！？」

中庭に来て金魚草の長に聞いてみるも知っている金魚草は居なかった。

「そうだ、最近はね！いろんな鬼と仲良くなったんだよ！茄子くんに唐瓜くんでしょ、あとね、お香さん！」

最近出会った鬼、面白かったことを楽しそうに報告しているA、そしてそれに反応してくれる金魚草の群れ。
何とも不思議な光景であるが話を終えた金魚草少女のAは今まで見せなかった顔をした。

その原因は仲間からの「なんで無理した笑顔なの？」という質問だった。

今までは立って話していたAはその場にしゃがみ、地面に落ちている枯れた金魚草を拾った。

「あのね、日が経つにつれて…のどの渇きがひどくなるの……私も、いつかはこうなると分かってたけど、怖いの」

その枯れた金魚草を土に埋め、俯いた少女。

ザワザワと揺れる金魚草たちは一人の少女の頭をなでるようだった。

ついに少女の目には涙が浮かびだした。
「おっ…ぎゃっ…やぁぁぁぁあ」

その泣き声は連動して群れ全体で鳴き出した。
しかし、聞いていくうちに鳴き声は歌のようになり、その言葉は鬼には分からずとも金魚草が分かるもので、少女は励まされていることを知った。

「ぎゃ…っ…ありがと…みんなっ」

ずずずーっと鼻水をすすり、涙を赤の着物の袖で拭いた。

「よし！みんなで水あびしようか！！」
駆け出した先には如雨露のように加工したバケツ付のホース。

暗いことなど考えない。
先が見えているのなら存分に楽しもう。

仲間からのメッセージを実行することにしたA。

これからどんなに楽しいことが待ち受けているのかは彼女にもわからない。

頑張ります！→←女性らしい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す