2 ページ3
あとから見返してちょっと読みにくかったので、描き方を変更します。
*
それどころじゃなかった。
彩は身を翻し、街の隅に立って自信作を売り始めた。
「赤い実のパイどうですか。」
なるべく声色を明るくして、そう言った。
くらい声だと、余計にこちらを見てくれないから。
少しでも、可能性があるのなら。
私は、信じたかった。
それでも街の人たちはこちらを見向きもしない。
「自信作なんです。」
彩は諦めない。しかし、売り始めたばかりとはいえ見向きさえされないのも結構きつい。
時間が経ち、時計塔がなった。どうやら昼を知らせに来たようだ。
「全然、売れないな。」
そう、小さな声でポツリと零した。
さっきからずっと呼びかけているのに、誰1人興味を持たない。
やっぱり、今日もダメかな。
…分かっていた。それでも希望が捨て切れない。
あの日、唯一こちらを、私を見てくれた人がいるから。
せめて、せめてもう少し頑張ろう。
私はもう少し続けることにした。
*
生まれてきた時からそうだった。
周りのみんなは生きる意味を失っているように目が虚ろで、何にも興味を示さなかった。
それでも、俺は知りたかった。
俺達は何者なのか。そして、”生きる”ということの意味を。
幸い俺には、俺と同じ考えを持った友人がいた。いつか、俺達みんなで世界中を旅して存在意義を探しに行く。なんて、ガキの頃はよく話していた。
そんな事を考えているとき、俺達はあいつに出会った。いや、出会ったと言うよりも俺達が見つけたという方が正しいか。
名前も知らない女の子。
でも、あの子の目は周りのヤツらと違って、何かを写す目は輝いていた。
何故だろう。あの子が、俺達が探し求めていた答えを知っているような気がした。
それはこいつらも同じようで。
「...なんかあそこにいるヤツ。」
「ん。何か周りと違うよな。」
「”生きてる”みたいな?」
「ナナキ。俺らも一応生きてるだろ。...でも、言いたいことはわかる気がする。」
生きるとは何か。俺達に終わりがあるのか。そんなことを、あの少女は全てを知っているように見えた。
...俺達は、周りから見ればまだまだ少年といったところだが、これでも生きている時間は長い。
今日、初めて見掛けたと言うことは、もう会えないかも知れない。
探せばすむはずだが、何処からか来た焦りが、俺達の背中を押した。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←林檎売りの泡沫少女
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:パンプキン | 作成日時:2018年3月27日 0時