Valkyrieの人形はプロデューサー (ページ32)

今日:4 hit、昨日:23 hit、合計:208,969 hit

第二十九話ページ32

会長に無理やり連れてこられたのは『fine』が貸し切っているレッスン室だ。
「さて、君にはこれから『fine』専属となってもらうよ。あぁ、そんなに警戒しないでくれよ」
微笑む会長に私は『無』を繰り返す。感情を表に出してはいけない。大丈夫。大丈夫……。
「弓弦、練習メニューはあるかな？」
「はい、でしたらこちらに」
確か……隣のクラスである伏見、弓弦くんだったか……？彼も『fine』だったのか。真緒くんのクラスメイトであること以外知っているのは、私とほぼ同じ時期に転校してきたことだ。あとは、生徒会の雑用もやっているだとか……。
「えぇ～！今日も走るのぉ～！？ボク走りたくな～い！」
駄々をこねているのが姫宮桃李くん……。金持ちの御曹司が集まっているユニットにしか見えない。しかも小柄だからか愛らしく見えてしまう。真緒くん情報だが、彼も生徒会で書記を務めているらしい。しかし言動と声質で普通に小・中学生に見えてしまう。
「ですがこれもまた英智の愛！ん～！Amazing☆」
愛だとかなんとか言っている人は『三奇人』の一人。日々樹渉さん……。北斗くんから「変態仮面」と呼ばれていたのを覚えている。仮面をつけていて、『道化』みたいだ。
「さぁ、次のライブに向けてレッスンを始めよう」
会長が手を打ち鳴らし、皆が真剣な面持ちになる。
成程、このような場面では必ずしも誰もがこのようになる……。

第三十話→←第二十八話