傍観？時代が違うっつーの《黒バス》

8.残念ボーイと残念ファーザーの再会 ページ10

ゲシュタルト崩壊を起こし暫(しば)し呆然としていた弘樹の肩を父さん、と叩くのは寝ていた筈の翔だった。


翔に呼ばれてハッと意識を取り戻した弘樹は翔を見て心底驚いた。

何せ物凄く久しぶりの会話なのだ。

もう再会とも言っていいんじゃないだろうか。


そう弘樹が考え込んでいると翔は腕を組んで少しだけ首を傾げて

「父さん大丈夫？どうしたんだよ。また姉ちゃんかー？」


と笑う。

当たり前の様に姉ちゃんか、と言った翔に内心笑いながら弘樹はそっと腕を伸ばした。




え、と驚いている翔をきゅと抱きしめる。

Aにもこうしてやりたかったが生憎、
あいつも色々複雑な年頃だろうと遠慮したのだ。



何も言わずに黙っていると翔がもぞもぞと動き出して驚いた顔から一変。

ふっと自分の息子ながら思わず見惚れてしまう様な笑みを浮かべた後、



「俺も大概大きい方なんだけど、"父ちゃん"ってこんなに大きいんだな」


と言った。




その言葉は、




体格的なことだったのか、




それとも精神的な、





心の事だったのか。









それは二人にも分からないことで。




弘樹はただ、そうだなと翔の頭を撫でた。

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