11話『ルーク』 ページ12
ウサギの説明が終わった後に、ルークは鬱陶しい程の暑さが襲うサマーエンドコードにとばされた。
とばされた、という表現が正しいのかどうか定かではないが、そうとしか言いようがないと感じる。
しかも、ルークは説明をまったくと言って良いほど聞いていなかった為、人より余計に状況をのみこめていなかった。
ただ一つ、この暑い地獄のような環境下から脱したいという思いは強くある。
遠くをじっと見つめれば、何か蠢く影が見える。
別段飛び抜けて視力がいいわけでもないので、それはただの黒い斑点にしか見えないのだが、どうにもそれにいい印象を受けない。
まあ、そんな事はどうでも良いのだ。
実際になってしまった事は仕方ないのだから。
大事なのは、これからどうするべきか。
是が非でも、元の世界へ帰りたいのだが、一先ず現時点で出来る事は無いのかと頭の中で模索する。
確か、ウサギは
それに当てはまるような人間は疎か、生物の姿さえ見えない。
困った彼は、腕を組み悶々と悩む。
ふと視線を下にずらした時、人がいるのに気がついた。
「ぬわぁっ!」
あまりにも突然の事に、大きく体を動かし、その反動で足がもつれ転ぶ。
砂の上にはらりと制帽が落ちた。
「ぁ、えっと…ごめんなさい…だ、大丈夫、ですか?」
盛大に転んだルークに声をかけ、立ち上がり頭を下げたのは一人の少年だった。
気の弱そうにオドオドしながら、困ったように視線を移動させる。
おそらく、この少年がルークの
「な、何、平気だ。ところで君は名を何という?僕は、ルーク。ルーク・ポップルウェルだ。誇り高き吸血鬼にして千年とちょっとを生きている」
図々しさこの上ない、偉そうな態度と突然の問いに少年は怒りも疑問も持たずに、名を告げる。
「ぇ、あ、真裏帆理です…あ、あの、ほんとにごめんなさい…」
真裏帆理、帆理。
心の中で復唱する。
「ん、帆理くんだな。これからよろしく頼むぞ」
「は、はい。俺なんか頼りないと思いますけど…」
そう言ってルークに差し出された手を、帆理はゆっくりと握った。
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泉罪(プロフ) - おわりましたー (2017年4月15日 15時) (レス) id: b8d70dc730 (このIDを非表示/違反報告)
泉罪(プロフ) - 更新しますー (2017年4月15日 14時) (レス) id: b8d70dc730 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 終わりました (2017年4月4日 12時) (レス) id: fe844cdf7e (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 更新します (2017年4月4日 12時) (レス) id: fe844cdf7e (このIDを非表示/違反報告)
怪盗エリン@ぷよテトガチ勢(プロフ) - 更新終わりました (2017年3月30日 14時) (レス) id: a32125eb65 (このIDを非表示/違反報告)
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