扉の先に【募集企画小説】 (ページ13)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:6,969 hit

13話『真裏帆理』ページ13

扉をくぐった先、そこは暑い場所

多分、ウサギが言うには、サマーエンドコード

あぁ、もう、本当に、意味がわからない

「(…帰りたい)」

帰りたい、明るくていいから、帰りたい

じわりと涙が出てきて、零れないように思わずしゃがみこむ

グスグスと涙をこらえながら、どうしようと悩んでいると、不意に影が指した

不思議に思い、フッと顔をあげれば、そこには

「ひと…？」

「ぬわぁっ！」

「ﾋｯ」

人と思わしき人物がいた

盛大に転んだその人に驚きながらも、声をかける

そこで、気づいたことが一つ

ウサギの話を信じるなら、この人が契約(ペア)の相手となるのでは？

どうなんだろうか、戸惑いながらも声をかけると

「僕は、ルーク。ルーク・ポップルウェルだ。誇り高き吸血鬼にして千年とちょっとを生きている」

そう返事が返ってきた

吸血鬼…。なら、夜の住人であり、先程ウサギが告げていた僕の契約相手である

契約相手、この人が。

「ぇ、あ、真裏帆理です…あ、あの、ほんとにごめんなさい…」

聞かれていた自分の名前を言って、僕が契約相手だなんてと、申し訳なくなって謝ってしまう

相手は、吸血鬼。しかも、千年も生きてる…。見た目は殆ど俺と変わらないのに

「ん、帆理くんだな。これからよろしく頼むぞ」

「は、はい。俺なんか頼りないと思いますけど…」

せめて、足でまといにはならないようにしなければ

差し出された手をオズオズと握り返しながら、頭の片隅で考えた