5話【人形】 ページ6
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2人は神櫻の前にある階段に腰掛けながら話していた。
「汝がこの国を去ってから500年も経ったのう」
『うん。稲妻も変わっちゃったね。
今、目狩り令っていう神の目を押収する命が出てるんでしょ?』
麗がそう言うと神子は驚いたように「汝、どこでその情報を?」と問いかけた。
麗は先程の万葉とのやり取りを話そうとしたが万が一話したら自分もお縄行きと思ったのか『通りがかった稲妻人に聞いたの』と嘘をついた。
神子はその発言を疑わしげな顔で聞いたが納得したようにうなづいた。
『ねぇ、神子。目狩り令は本当に雷電将軍…影さんが下したの?なにかの間違いなんじゃ…』
「…そういえば汝は知らなかったんじゃったな。
今、稲妻を統治しているのは影ではない」
『え…?』
「影が作った人形。雷電将軍じゃ」
麗は神子の放った言葉に瞳を縦に広げるしかなかった。
彼女の中にそんな、という絶望の感情と同時に脳裏にまだ彼が麗に"彼"として話してくれていたことを思い出す。
〈僕はあいつが作った人形らしいんだ〉
麗の頭の中に彼の声が、言葉が響く。
耳を塞ぎたくなるようなその言葉を麗は苦しそうな顔で受け止めた。
『そっ…か……今の将軍は影さんじゃないんだ…』
「……それにしても汝がここに来たということは」
「妾に世話して欲しいんじゃな?」と麗を慰めるように頭を撫でながら神子は言う。
『間違ってはないけど……』
「まぁ汝を置いてやらんこともないが……働かざる者食うべからずというものじゃろう?」
『……はい、働きます…』
神子の笑顔には有無を言わせない圧が含まれており麗は肯定の返事しか言えなかった。
麗の返事を聞いた神子は満足そうに笑った。
「では早速で悪いんじゃがこの書類を社奉行の神里家の者に渡してはくれぬか?」
『わかったよ。神里家だね、影向山の下にあったお屋敷で間違いない?』
「うむ。それでは頼んだぞ」
手のひらをひらひらと麗に向けて仰ぎながら送り出す神子を見ながら麗は押しつけが上手くなってると頭の片隅で思った。
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謝らせてください。
私、3話で時系列可笑しくなってました。
空くんが稲妻に来る1年前の話なんでまだ死んでません。
ごめんなさい。直しました。
時々誤字ったりするんでご容赦ください。
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます!感想書いていただいて嬉しいです!伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください! (2022年7月10日 23時) (レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します!ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです!続編がますます楽しみになる作品ですね、、更新待ってます! (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空華 | 作成日時:2022年7月4日 22時