43話【揺らぎ】 ページ44
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『殺しちゃ駄目！！』
麗が空を庇ったその時、将軍の中で何かが揺らぎ、剣を振りかぶった腕をほんの一瞬静止させた。
否、正確に言うと将軍の中にいる雷電影の意識が揺らいだのだ。
刹那、トーマが槍を将軍の方へと飛ばし将軍はすかさず弾き飛ばす。
その衝撃で空と麗、パイモンは吹き飛びトーマは彼らを抱きとめる。
その隙に麗とトーマはよろけている空を担ぎ一緒に花見坂の方へと逃げていった。
「…………」
そんな彼らの背中を見ながら将軍は二つのことを考えた。
一つ、先程の神の目がないのにも関わらず元素力を操る旅人を神像へとはめ込むこと。
二つ、自身の意識を揺らがせた少女の身柄の確保。
「(……あの姿見、見覚えはありませんが…)」
なんとなく誰だかわかる。
そして彼女がいればまた一歩、稲妻の永遠に近づける。
それが将軍の行き着いた答えだった。
内なる者に聞けばその答えはすぐにわかるだろう。
しかし内なる者は今でも摩耗を防ぐ為に瞑想を続けている。邪魔をするのはよくない、と結論づけ天領奉行の役人に目を向ける。
「しょ、将軍様…先ほどの…」
「彼は"目狩り令の対象へ、庇った彼女のほうは速やかに捕虜の対象へ」
指示を下すと将軍は天守閣の方へと歩き始める。
「次は必ずや一太刀を」
＿＿＿＿
「……………」
将軍の内なる精神世界、一心浄土。
その中で瞑想を続けていた雷電影はほんの少し閉じていた目を開けた。
将軍の目で見た彼女。あれはまさしく自身と一緒に同じ時を過ごしてきた友の一人だった。
影の脳裏に雷櫻の下で花見をしている彼女らがよぎる。
＿＿＿〈影さん！〉
「…………麗」
影はその一言だけ呟くと邪念を払うかのようにまた目を閉じ瞑想を始めた。
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます！感想書いていただいて嬉しいです！伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください！ (2022年7月10日 23時) (
レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します！ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです！続編がますます楽しみになる作品ですね､､更新待ってます！ (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空華 | 作成日時：2022年7月4日 22時
