32話【期待】 ページ33
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麗は鳴神大社に戻り、事の顛末を暇していた神子にこと細やかに教えた。
「ほう、その童は今離島におるのか」
『神子、興味あるの？』
「ん？妾はあの童に少し期待しておるのだ」
『期待？』
麗は意味がわからず首を傾げると神子は不敵に笑いながらも言葉を紡ぐ。
「あの童なら、この情勢を崩せるかもしれん。
勿論、影を引きづり出せるかもしれんな」
刹那、麗の手にあった依頼書たちがバラバラと床に落ちる。
神子は「おやおや」と言いながら呆然と惚けている麗に代わって依頼書を拾い、彼女の手に持たせる。
『影さ、生きてるの、？』
「ふむ、妾の言葉足らずじゃったか。
影は一心浄土で今も瞑想を続けておる。
意識自体は生きておるな」
麗はその言葉を聞くと数ヶ月前に神子と再会したようにボロリと大粒の涙を流し嗚咽を漏らす。
そんな麗に優しく寄り添い神子はそっと彼女を抱き締める。
どうやら今までの公衆で言っていた彼女というのは影ではなく人形の雷電将軍そのままを指していたらしい。
神子はずっと影は死んでおると思っておったのか、と自身の言葉の足りなさに少し申し訳なさを覚えた。
『ぅえ、よか、った……ゎたじ、もう…謝れ、なぃがど…』
「よしよし、大丈夫じゃよ。
お主は何も悪くない、悪くないんじゃから」
神子は知っていた。
500年前のあの惨劇の中、麗は影や自分と同じほど絶望したことを。
彼女がした仕打ちをわかっていた。
しかし、それは不可抗力だったのだ。
だから神子は500年も待てたのだ。
いつか麗は戻ってくる、そう信じてずっと待っていたのだ。
今の神子にできるのは期待の異邦人を待ちながら泣き虫な旧友を慰めることだけである。
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます！感想書いていただいて嬉しいです！伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください！ (2022年7月10日 23時) (
レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します！ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです！続編がますます楽しみになる作品ですね､､更新待ってます！ (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空華 | 作成日時：2022年7月4日 22時
