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No.30 ページ30

一番伝えたい思いを込めて頬を寄せると、フライゴンははしゃぐのをやめて、ぴったりと体を寄せてきた。



とくとく、とその心臓の拍動が伝わってくる。



なんとか堪えようとしたけどやっぱりダメで、きつく閉じた瞼はみるみる濡れていった。





「おめでとう」





頭上から優しい声が降ってきて、思わず泣き濡れた顔を上げた。



いつの間に来ていたのか、シロナさんが柔らかく微笑んでいる。



キクノさんも、ナタネさんも、メリッサさんも、スズナちゃんも、スモモちゃんも。



皆がそれぞれに、笑顔で私たちを見つめている。





「また一段とカッコよくなったね、フライゴン!」



「Yes!ワタシ、感動しました!」



「本当におめでとうございます。私まで泣けてきちゃう……」



「フライゴンの進化のきっかけになれたこと、ルカリオも私も、誇りに思います!」



「親が子を想うように、トレーナーはポケモンを想うもの。あなたとフライゴンの絆は本物ね……ほほほ、素敵なものを見せてくれて、ありがとうね」





皆の言葉が、じんわりと心に染みてくる。





…ああ、この温かく幸せな気持ちを感じるのは、随分久しぶりだ。





今いる私の相棒たちが進化した時以来、ポケモンから離れてしまって以来の感覚。



蓋をしてきた、トレーナーとしてのポケモンに対する愛情。



フライゴンの進化を通して、初めて、私は自分が本当の意味でトレーナーとしてのあり方を取り戻したことを実感した。





『皆……ありがとう』





涙を指で払ってお礼を告げるとシロナさんがそっと手を差し出してくれる。



その手をしっかり掴んで立ち上がった。





「今のあなたなら、もう怖いものナシね」




―リーグで待ってるわ。



そう言ったシロナさんに向けて、力を込めて頷いて見せる。





私の挑戦はきっと、ここがスタートライン。





傍らのフライゴンを一撫でして、私は改めて覚悟を決めた。

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狼(ろん)(プロフ) - くずをさん» ありがとうございます、そう言っていただけるととても嬉しいです!これからも少しずつですが更新しますので、よければ是非ご覧ください! (2020年2月2日 23時) (レス) id: 05bb7f03fd (このIDを非表示/違反報告)
狼(ろん)(プロフ) - MOMOさん» ありがとうございます!なかなか更新できず、申し訳ありません…(汗)ゆっくりですが、これからも更新していくので、是非お付きあいください! (2020年2月2日 23時) (レス) id: 05bb7f03fd (このIDを非表示/違反報告)
くずを - 初見失礼します!あなた小説面白くて大好きですこれからも応援してます! (2020年1月30日 16時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
MOMO - 好きです!次の更新待ってます! (2020年1月30日 16時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
狼(ろん)(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます、気に入っていただけて嬉しいです!これからも、よろしければお付き合いください(*´ω`*) (2020年1月9日 16時) (レス) id: 05bb7f03fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狼(ろん) | 作成日時:2019年12月28日 23時

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