【火神くんの彼女】 (ページ38)

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火神「なんか、付き合った実感が薄い..し、俺のものって思ったら他のやつらがたくさん呼んでる名前で呼びたくねえなって..」

私と同じことを思っていた彼に、また愛しさが止まらない。

彼は、きっと誰よりも不器用で誰よりも優しい

「じゃあ、私も大我って呼ぶから！かが..大我もAって呼んで！」

火神「..おう！..て言ってもなんか、改まると恥ずかしいな結構」

そう言って、本当に頬を赤らめる大我。

きっと単純さも誰よりも１番

２人であの日食べたクレープと同じものを食べながら

フードコートにくつろぐ。

「ねえ、その味甘くないの？」

火神「甘いに決まってんだろ、だからうまいんじゃん」

「なんかいつまでたっても大我がそんなの食べてるとこ見慣れないな～」

火神「あっ、おいお前いつまでそんなこと言ってんだよ！いい加減慣れろ」

「それより私の方が美味しいと思うよ～！アイス入ってるし！」

火神「いや、絶対譲らねえ！俺の方が絶対うまい！一口食うか？」

「..え、いいの？」

火神「おう、食べかけで嫌じゃなかったら」

「ありがとう！じゃ、一口もらうね！私のもいる？」

火神「んじゃ、一口貰うわ。でもしら..Aのもうほとんど溶けてんじゃん」

「しょうがないでしょ～アイスがほとんどなんだから！」

そう言いあいながらお互いのクレープを交換した。

あの日と同じくらいの時間

同じ味のクレープ、同じ空間

それなのにあの日と同じ、苦しさや儚さはもうどこにもなくて

きっとこんなことする日がくるなんて過去のどんな私でも想像はつかないと思う。

あれ...そういえばこれって

いわゆる間接キスってやつだよね..？

大我ってこういうの平気で出来るの？

アメリカって皆こう？..

いつもほとんど私と同じようなことを考えている大我なのに

急に大胆な行動をすることがある。

無自覚なの..？確信犯なの..？

どっちにしろ、私の鼓動を響かせるのには十分すぎるくらいだった。