太宰さんがマフィアから出て行ってくれない【文スト】

16話 ページ17

翌日。


マフィア本部から数キロ離れたとある洋館。


なんか嫌なところだ。織田作とジイドが戦ったところに似てる。アニメでしか見たことないけど。


今の私は傷だらけだ。勿論自分でやった。擦り傷ばかりではあるが、明星の悪夢の連中を騙す為だ。


私の設定は、マフィアから逃げてきた人。手の中にはマフィアの機密情報(偽)。異能持ちだとは明かさず、マフィアの情報を教えるから匿ってくれ、君たちが良いならそちら側につくと言う。


『はあ、はあ、はあ……っ』

「誰だ貴様はっ！」


武装した男が来た。


彼と目を合わせる。


(マフィアの刺客か……？)


『私、は、マフィアから逃げて来たの……裏切ったから、追われてる……』

「そのような者が此処に何の用だ(マフィアの裏切り者……邪魔になる気しかせん)」


私は懐から数枚の書類を取り出した。


マフィアの機密情報(偽)だ。ボスのサインも入れてある。ボスが今回の作戦の為に作ってくれた。


『マフィアの機密情報、教えるからさ……匿ってくれない？』

「マ、マフィアの機密情報だと！？(確かにそれを手に入れる利益は大きい！)」

『取引、しよう？マフィアの情報教えてあげるから、私をこの組織に入れて、匿って』

「……来い」


やったね作戦成功。


その後、明星の悪夢の長に話をした。


長はマフィアの機密情報と聞き、私を組織に入れることをすぐ承諾した。


と言っても、心の中では未だ怪しんでる。行動に注意しないと。


「まずその傷を癒すと良い。情報はその後でも遅くはない(我々にもツキが回ってきたようだ)」

『本当に、ありがとうございます』


医務室的な部屋に通され、傷の手当てをしてもらう。


1人になった。


私は半径3キロ以内に居るボスにテレパシーを送る。
一方的な送信しか出来ないけど、状況は伝えられる。しかも、記録も残らないから絶対にバレない。


こいつ、直接脳内に……！？みたいなやつだ。


さて、とりあえず潜入に成功したし、今日はゆっくりしておこう。
あとはこの組織にマフィアの機密情報(偽)をバラし、会話の中で異能で心の中を読み取り、それをボスに送り、組織に協力しているフリをするだけ。


油断出来ないけど、まあなんとかなりそうだ。


マフィアが突入する予定なのは2週間後。それまでにできる限りの情報を送り、当日には後方で待機して突然の奇襲。


それで終わりだ。


この作戦が、ボスが私を殺し、太宰さんをマフィアから追い出す為の作戦でなければ。

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