悪童が悪童じゃない話

バァカ*20 ページ20

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鳩羽と会った日から一週間後の今。
俺は全速力でAの家へと向かっている。




朝起きてから俺は携帯を開いてすぐ玄関を飛び出した。


Aからの一通のメール。




『別れちゃった』




なんで、どうして、理由は思い当たらない。
あれからお前等はあんなに幸せそうに歩いてたじゃないか。

信号を待っていると、また誰かから連絡が来た。

ザキからだ。



『花宮！ 原が、刺されたって！』




原が、刺された……!?
くそっなんでこんなに俺の周りで……。

原の方も心配だったが、それ以上にAの元へ行きたい思いが勝った。



高校時代より体力が落ちているのか、思ったよりスピードが出ない。
チッと舌打ちをし、俺は走り続けた。


やっと着いたAのマンション。
階段を上ろうとしたとき、グイッと腕を引かれた。
重力に従うように落ちていく体。

目をギュッと瞑る。
だが衝撃はいつまで来ない。
俺はゆっくりと目を開けた。




「っ!?」





見えたのは、鳩羽の顔。
驚きすぎて声も出なくなる。





「ねえ、君はどうしたら不幸になる？」



氷のような冷たい声に背中に悪寒が走る。



俺が、不幸になる？


その言葉を聞いただけで俺は理解してしまった。


コイツは、俺を不幸にさせる為にAと付き合い、そして今別れたんだ。
原を刺したのもコイツだ。


怒りや悲しみ、哀れみなどが俺の心を駆け巡る。
何も言わない俺に痺れを切らしたのか鳩羽は自ら語り始めた。

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