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繊細で敏感で ページ17

沖「そこ座ってろぃ」



戻ってきた総悟さんは
わたしを食堂の椅子に座らせ、
厨房に入っていた。

総悟さんはほんとに、
一筋縄ではいかない雰囲気満載だ。
たくさんの男の人と関わって来たけど
ここまで扱いに困難を感じる人はいなかった。


…いや、そもそも


身体を重ねない関係を
男の人と成り立てること自体が、
わたしにはない経験だった。

そんなことを考えていると
厨房から総悟さんが何も言わずに来た。
総悟さんはわたしの元に来るなり、
眼の前に座り、わたしの足を持ち上げた。



「きゃっ…」



バランスを崩しそうになって、
慌ててテーブルを掴む。
わたしの足を自分の足に乗せ、
その上にゆっくりとタオルを乗せた。



「…あ、あったかい」



そのタオルはお湯をかけられたのだろう、
すごく温かくて心地よかった。
総悟さんはその上にもう一枚、タオルを乗せ
わたしの足を優しく撫でた。



沖「古傷は冷えると痛み出す。雨の日とかにもな。
そういう時はこうやって温めるといいんでぃ」


「そうなんですか…」


沖「俺たちも生傷が絶えねぇんでねぃ。
そうじゃねぇかと思ったんでさぁ」



なんてことない顔で
俯きながら言う総悟さんの顔を
驚きながら、まじまじと見つめる。
鼻筋が通って、長い睫毛が揺らめく。
色素の薄い髪色が彼の透明度を上げている。

驚いたな。
どこか人を小馬鹿にしているような人なのに
ほんとは繊細で敏感で、優しい人なのだわ。

わたしの足を撫でる手は細く、
でもしっかりしていて
適度な力でほぐしてくれる。



「…総悟さん、ありが、」


沖「次、休みいつなんで?」


「え?」


沖「やぁすぅみぃ」



一回で聞き取れよ、と言わんばかりに
わたしの顔を見上げた彼の顔は至近距離で
わたしを真っ直ぐに見つめる。



「明後日…いただいてます」


沖「明後日ねぃ。OK」


「な、なぜですか?」


沖「さっきの、礼はいらねぇから
次の休み、ちょっと付き合ってくだせぇ」


「わ、わかりました…?」



冷めて来ちまったな、と
タオルを外す、総悟さんに
痛みが引いたことを伝えると
総悟さんは少しだけ、笑って見せた。



「あ…」


沖「?なんでぃ」


「いや…いつも悪戯に笑ってらっしゃるので
今みたいに笑ってる総悟さん、初めてで。
すごく…素敵な笑顔でした」



総悟さんはもう一度、眼を丸くして
タオルを持って食堂を出ながら



沖「さっさと寝ろぃ」



と足早に行ってしまった。

暗がり : 土方→←恥ずかしさ



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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

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