恥ずかしさ ページ16
おば「じゃあ、後頼んでいいかい?」
「はい、もちろん。
お疲れ様でした!お気をつけて」
夕食の片付けと明日の下拵えを終え、
おばさま達は帰路に向かう。
わたしは食堂でひとり、残りの作業を行う。
おばさま達が愚痴っていたけど
以前にも増して、みんな
食堂で食べるようになったそうで
片付けを下拵えもすごい数だ。
冷えるようになって来たから
みんな、出たくないのかもしれない。
もっと効率よく動けるようにしないとな。
「…食べて、ないかな」
夕食時、総悟さんが食堂に来た時
食堂を通り過ぎる、土方さんを見掛けた。
あれから、姿を見てないから
仕事で出たのだろう。
もし、まだ食べていなかったら…。
「…」
わたしは炊飯器を開けて覗く。
まだ少し、残ってる。
明日の下拵えの残りもあるし、
簡単にでも何か作っておけば、
沖「また作るんで?」
「!?総悟さん!え、あ、…いや…」
沖「…見廻りに出たら、
軽く引っかけて
帰ってくることもありまさぁ」
「え!あ、…」
わたしの考えを見透かされていたことと、
そんなことも想像できなかったことに
恥ずかしさを覚える。
沖「俺が食べてやりましょうかぃ?」
「あ、いえ。
残りは明日の賄いに回しますから…」
沖「ふぅん」
そう答えたものの、総悟さんは
そこから離れようとせず、
片付ける、わたしをじっと見つめている。
わたしは少しだけ、居心地が悪く
何か話さないとと頭を回す。
「総悟さんは…、土方さんが
お好きなのですね」
がたっっ
わたしが言い終わると同時に
大きな音を立てた、総悟さんに振り向く。
総悟さんは寄っかかっていた肩を滑らせ
大きな眼を更に大きくして呆然としていた。
「あの…?」
沖「誰が」
「総悟さんが…?」
沖「誰を」
「土方さんを…」
沖「な、なんなななんだって」
「…えと、なんかすみません」
身震いをしながら、首を振り乱した
総悟さんはぱっとわたしを見つめ直した。
沖「足」
「え…?」
沖「痛むんだろぃ」
「…!い、いえ、全然、」
沖「他の奴は騙せてるつもりだろうが
俺は騙せねぇぜぃ。
冷えて来たかんな。痛むんだろぃ」
「…………す、少し」
沖「…それ、もう終わんのか」
「片付け?…ええ、もう」
沖「じゃあ、湯沸かしといて。
すぐ戻りまさぁ」
「は、はい…??」
総悟さんはそう言うと、
ぱたぱたと食堂を出た。
わたしは首を傾げながら、
言われた通りにする。
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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時