自分らしく ページ26
「え…、なぜ銀時さんが謝るのですか?」
眼を丸くしていると、
眉を下げながら微笑み、
ぽんっとわたしの頭に掌を乗せた。
銀「…いや、俺が勝手だった。
何もしなくていいだなんて、
Aちゃんには酷だった。悪い。
自分のことしか、考えてなかったな」
「だから、それはわたしの方で、」
銀「ううん。いや、
いいんだ。合ってる。
何もおかしかねぇし
これが友達ってやつだよ」
「…利用するのが?」
銀「んにゃ。言い方が違ぇな。
利用じゃねぇ。甘えるのが、だ」
「甘える?」
銀「俺はAちゃんに
利用されてるなんて、思ったことねぇ。
ただ、Aちゃんが俺に
申し訳なく思っちまうくらい、
頼りにしたり、拠り所にしてるとしたら
それだけ、俺は甘えられる存在ってことだろ?
え、超嬉しいんだけど?」
にひひ、とまた恥ずかしそうに笑いながら
わたしの頭をぽんぽんと優しく撫でる。
わたしは訳も分からず、鼻の奥がツンとして
咄嗟に、俯いて眼を反らしてしまった。
銀「俺もさ、なんだかんだ、
癒されに来てんのよ、ここに。
Aちゃんと話してると
楽っつうか、自分らしく居られるんだよ。
不思議だよなぁ、
まだ知り合って何回かしか逢ってねぇのに。
だから、甘えてるのは俺も一緒なんだよね」
「…自分らしく」
四辻さまにも言ってもらったっけ。
あの時はよく分からなかったけれど、
ああ。今なら分かる気がする。
「…わ、わたしも!」
銀「!…お?」
「…わたしも、…銀時さんと話してると
いつもの自分とは少し違うような…。
とても気が楽、と言いますか。
あ、ごめんなさい、お客さまにこんなこと」
銀「へへへ、また一緒だな!
なんで謝るんだよ。言ったろ、
お客様じゃねぇ、友達だって」
「…ふふ、………はいっ」
銀「ま、まあ、さっき月詠に
これはツケ払いだからなと
念を押されたけどな…」
ははは…と引きつりながら、漏らす銀時さんに
わたしは考えもなく口走ってしまった。
「あ、…あの、今度は
わたしが……逢いに行きます」
銀「えっ、Aちゃんが!?」
「ええ。その、銀時さんや
万事屋の皆さんにも
お逢い、してみたいし…」
銀「出てみる気になったのか?!」
「はい……わたしも自分から
友達に逢いに行きたいですから」
銀「…ははは!やった!
じゃ、じゃあ、かぶき町案内するよ!
団子屋にも一緒に行こう!
今度の休みにでも!や、約束な!」
「はい…!約束!」
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作者名:美雨 | 作成日時:2019年2月27日 23時