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33話 ページ33

後藤は息を切らしている火神を見て、先程の小金井を見て集中力を上げた。



「カントク、自分いつでも出れますよ」


「ようやくスイッチ入ったようね」


「遅くなってすみません」



リコは微笑んだ。


普段、クールにわちゃわちゃしている一年生の後ろで微笑んでいるだけの後藤。


だが、そんな彼でも心が熱いのはわりと最初から見抜いていた。


しっかりと自我を持っていることも。



集中力を上げた後藤は、火神と津川を見た。


そこで気づく。



「ダメだ、行くな火神!」


「やっちゃったか」



日向の制止も遅く、火神は四回目のファールを受けてしまった。


津川の性格の悪さが、見事に単純な火神のスイッチを押した。



「後藤くん、悪いんだけど少し待ってね。
あくまでも交代要員でアップしてて欲しかっただけだから」



その言葉に頷いた後藤は、立ち上がった小金井と土田を見た。



「そんじゃ、俺らも行ってくる!」


「よろしくな」


「行ってらっしゃい」



リコが交代をお願いした時、火神が抗議し出したが、日向が黙らせる。



「まっ、丁度良いわ。お前と黒子はどうせ引っこめるつもりだったからな」


「っ」


「僕も、ですか?」


「最初から決めてたからな。
お前ら二人は前半までだって」


「そんな、なんでだよ、ですか!」



後藤と違い、納得のいかない火神。


だが日向は冷静に告げた。



「理由はひとつ、緑間を倒すにはお前ら二人と、後藤が必要だからだ。
もしこの試合に勝ったとして、次の秀徳に勝つには緑間攻略が必須条件だ。
けど予想通り、秀徳は既に緑間を温存している。消耗したお前らじゃ勝てない」


「だからって!
この試合に負けたら元も子も」


「博打だってのは分かってるさ。
けど、お前ら二人を温存できれば秀徳を倒し、決勝リーグへ行ける可能性がわずかに残るんだ」


「いや、疲れてても何とかして緑間を倒して見せますよ、だからっ!」


「火神くん」



日向の説明にも、引こうとしない火神を止めたのは黒子だった。



「言う通りにしましょう」


「なっ」


「僕は先輩たちを信じます」


「まぁ心配すんな。
正邦は俺たちが倒す」



火神が後藤に目を向けると、後藤も頷いた。


黒子と後藤に諭されて、火神は大人しくベンチに戻り、小金井と土田がコートに入った。



「間違ってもスイッチ切るなよ後藤」


「……はい」



後藤がリコに釘を刺されたのは内緒だ。

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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

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