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32話 ページ32

第1クォーター終了後、五人の所に、岩村と絞められた津川がやってきた。



「そう言えばさっき、またこいつがバカ言ったそうだな」


「あぁ、ぶっちゃけ去年のトラウマ思い出したし」


「すまんな」


「けどまっ、全然いいっすよ」


「……」


「乗り越えたし」



そう言った日向率いる誠凛スタメンの五人は、とても頼もしく見える。


これでもたった一年少ししか経っていないチーム。



相手チームから津川の声が聞こえてくるが無視を決め込んで、誠凛は誠凛でミーティングだ。



「勝負は始まったばかりよ!
フォーメーションはこのままで行く。
ただパス回しに釣られすぎてるからゾーンは少しタイトに。
あと火神、ファール多い。
相手に合わせようなんて腰が引けちゃ流れ持ってかれる。攻める気持ちが大事よ!」


「「おう!」」


「それから後藤くん、アップしてて」


「良いんですか、それで」


「ちゃんとそこは考えてるから。
念の為よ、念の為」


「……分かりました」



後藤はベンチの裏で柔軟を始め、第2クォーターが始まった頃。


納得の行ってない後藤に、小金井が話し掛けた。



「俺らのこと、気使ってくれてありがとな」


「いいえ、自分は別に」


「お前はさ、馬鹿じゃないから色々考え込むのかもしんないけどさ。
お前たちは俺らの希望なんだ」


「……」


「だからこそさ、勝つためにも、自分が自分がってもっと来てもいいんだよ」



振り返った小金井の表情は先輩そのもので。


今まで向けられることのなかった表情に、後藤は目を見開く。



「俺らもバスケ好きだから、出る時間は短くても勝ち続ければ出られるしさ」


「……そうですね」


「だから、勝てる勝負にはガンガン行こうぜ!」



純粋な表情。


僻みも妬みも何も無い、小金井の純粋な笑顔を見て、後藤は感じた。



(この人たちは、純粋に勝ちたいから前を向いている。
たとえそれが強い相手だろうと、俺らを信じて……)



コートに目を向けると、東京最強のディフェンスに、火神と黒子の連携で二人抜きでダンクを決めていた。


観客はそれに沸いているが、後藤は気になることがある。



(それにしても汗の量、多くないか……。
っ、そうか。オーバーペースなんだ)



火神の尋常じゃない汗の量に、嫌な予感がした。

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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

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