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12話 ページ12

後藤は最後尾を歩きながら海常高校を出た。


それから何がどう転んだのか、後藤は目の前のステーキを笑顔で見つめていた。



「三十分以内に完食できなかったら一万円、ねぇ」



後藤は表情を崩さぬまま、ナイフとフォークを取った。


まぁ何とかなるだろうと食べ出す。



「あの、すみません」


「どうした?水か?」


「ポン酢あるか聞いていいですか」


「ポン酢?」


「できれば大根おろしも」



誰もがギョッとしてる中、店主は言われた通りおろしポン酢を持ってきた。


向こうからしたら食えるなら食ってみろ、である。


だが後藤は笑いながら、パクパクと食べていく。



「世の中おろしポン酢があれば何事も解決するんですよ」


「それは言い過ぎだ」



それから見る見る内に後藤のステーキは無くなった。


だが、その間に黒子を含む火神以外の選手がギブしていて。



(死んだ、俺たち……死んだぜ)


「ご馳走様でした」



両手を合わせて後藤は笑った。


見事鉄板には油のみが残っていて、完食である。



「よくその薄い体に四キロ入ったわね」


「そこでどうぞ真横のエースをご覧下さい」


「へ?」



そこにはパクパクと肉を食べて行ってる火神が居た。


他の部員たちのステーキをおかわり感覚で食べてるのだ。



「……はは、は……やっぱ天才って違うのかな」


「まさか、自分はあそこまで食えませんよ」



後藤は笑いながら否定する。


その時にリコは思った。


彼の笑顔以外の表情を見たことがないと。



「ねぇ後藤くん」


「はい?」


「今度、一人だけ外周攻めみよっか」


「え?」


「後藤くんって、体力だけ見ると、ウチで一番持ってるのよね。
火神くんの倍以上」


「……」


「中学の時は目立った戦績は無いって言ってたけど、後藤くんの数値や体力を見ると、それが逆に不自然なのよ」


「……」


「あなたの体力の限界が知りたい」



リコに真っ直ぐ正面から見られた後藤は、笑った。



「簡単な話ですよ。
中学の時、俺しか走れる人居なかったから、色々工夫しながら体力あげてただけです」



そう言った後藤は、完璧な笑顔だった。


貼り付けたみたいに綺麗な笑顔を浮かべた後藤に、リコは恐怖を感じた。

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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

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