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山吹128 ページ8

背中に、若干の硬さから違和感を覚えたリクオは、う〜ん、と、唸り、「おう、つらら… 洗濯物、そこ置いといたから…」という寝言をほざいた。


そして、体の感覚が戻ってきた時のこと。


体を襲ういつもと違うような妖の畏れに、リクオは重い瞼を開いた。
それと共に、戻った臭覚が、獣臭さをキャッチする。


これは……、猿?!


実際、そう思ったのかは分からない。が、リクオはその獣臭さと、妖の畏れに違和感を感じたのは事実。


ガバッと、上半身を起こし、周りを見回す。が、そこには自分の知る妖は誰ひとりとして居なかった。


逆に、あり、聞こえたのは奴良組三代目のリクオを侮辱し嘲笑する声。そして、危険と思われる発言だった。


「ちぃ… 起きたかい」


まずの、第一声は、リクオが起きたことを悔やむ声。


「あと半刻ほど起きなければ喰ってもいいという話じゃったのに」

「?!」


身体が寝ていた場所はおかま。これで自分が起きなければ、今はもうあの世逝きだっただろう。

「これじゃ、淡島の計画も台無しじゃ」
「浮かばれんのぉ…」


「それにしても」


「本当に、関東の奴良組の跡取りなのか」

「変なやつじゃ…。夜になると髪がボサッと伸びたぞ」

「人間の血が混じっとるから、半妖らしい。中途半端な奴じゃな……」

「いやいや… 半妖どころか、四分の一しか妖でないらしい」

「そんな奴いるか!」

いきなりの怒声に、リクオは肩を竦めた。

なんなんだ、ここは……!

そう思うのは、無理はない。だが、そのリクオの問いに答えるものは、誰も居なかった。


「ほら、目の前にな…」

くくく、と、またリクオを嘲笑する笑い声が耳に届く。思わず、耳を塞ぎたくなった。


「では、弱いはずじゃて…」

「こんな所へ来てしまって、死ぬかもしれんぞ」

「いんや、死ぬじゃろう。なにせ……」




『ここには小僧を殺そうとする輩しかいねえんじゃからな!』




「ころ……?!」

それは、生まれて初めてのリクオへの殺人予告だった。そして、裏を返せば、ここにはリクオの仲間はいないということ。



震えが止まらなくなり、歯が音を立て始めた頃。
それを見計らったように、よく絵本で出てきたなまはげが音を立てて「やっと起きたが〜〜〜」と近寄った。

「世話をやかせる見習いじゃー」

「み、見習い……?」


「ホラ! 赤河童様にご挨拶じゃ!!」

「うお?!」

投げ出された先。顔をあげれば、大きく赤い河童が、いた。

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- このお話しの続きみたいな (2021年12月1日 19時) (レス) id: 268141ac8f (このIDを非表示/違反報告)
寅丸号(プロフ) - 出戻りしました。訳あって更新できず、1から作り直しています。良ければ覗いてください。 (2019年6月5日 21時) (レス) id: aa5f260623 (このIDを非表示/違反報告)
火怨(プロフ) - 面白かったですが、辞めてしまったのは残念です、違うところでも頑張ってください (2017年12月1日 0時) (レス) id: c7b0e83110 (このIDを非表示/違反報告)
瑠那(プロフ) - これだけ作品が多いんです。パクリだからと言って辞めてしまってはキリがありませんよ。せめて完結させてほしかったです。小説を書いて他人に読んでもらっている時点で小説家なんです。責任をもってください。完結させないなら書かないで。面白かったのに残念です。 (2017年6月30日 22時) (レス) id: b7eb31190a (このIDを非表示/違反報告)
瑠那(プロフ) - 辞めてしまって言うのもどうかと思うんですけど...。原作沿いで作品を作っているのなら似てしまうのも仕方なくありませんか。勿論、相手の方と話してパクリだと認められたのなら別です。有名になってないだけで、この作品より前に似たようなものが作られたかもしれない (2017年6月30日 22時) (レス) id: b7eb31190a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:揺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年10月15日 22時

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