episode8 「糸を切り捨てて」 ページ9
同じくらいの確率が存在する以上、誰も言い切ることなど出来はしない。「かもしれない」程度の憶測でしか物を語れない私達は、生と死が共存していることを認めなければならないのだ。
グラジオは私の話を黙ったまま聞いている。答えの出ないいたちごっこをするつもりはないのだろう。私も長く話し過ぎただろうかとグラジオの方へじっと感情の凹凸のない視線を向ける。水晶をくり抜いたかのような静けさのある視線は、グラジオから一瞬もぶれることがない。
「エネコは生と死の共存が有り得る。実験結果を見れば、それを認めざるを得ない」
「何が言いたい」
「生きる屍は存在する。なら、外面だけ生きてても中身が死んでる私は、生と死が共存する物体と言えると思うの」
言いたいことをようやく口にすれば、グラジオは息を呑んで言葉を失ったかのように目を開いた。何も感じない、なんて、そんなの今に始まった事ではないし、私の淡々とした普段の行動を見ていれば気付きそうなものだが。
グラジオには全く気にされていなかったのだろう。所詮エーテル財団に保護されているだけの、ちょっとした実験道具にすぎない私だ。エーテル財団代表の息子とは立場が違うのだ。
緊迫した空気に、普段通りに話して見せる私は小首を傾げる。グラジオはそんな様子の私に何か感じるものがあったのか、悔しそうに顔を顰めて曇らせる。まるで、言いたいことがあるみたいに。
「貴方もそうだと思ってた、グラジオ」
「俺は操り人形じゃない。俺は決めた、自分の意思でこれからの未来をな」
「そう、予想外」
思った通りの言葉を投げかけてやれば、グラジオは今度こそ首を横に振って強く言い切る。断言されたグラジオの未来というのに、きっとルザミーネさんの意思は存在しない。彼女の手のひらで踊らされるのが嫌になったグラジオは、逃げ出すことを決意したのだろう。
とっくに消灯時間は過ぎている。真夜中で、グラジオが力でねじ伏せた追っ手はもう居ない。その静寂に混じるように、グラジオの声と手は私の方へ伸びて来た。
「お前も連れていく、ヌルと一緒に」
その言葉に黙り込む。そっと顔をあげ、無機質にグラジオを見つめて一言零す。
「私は貴方みたいな存在じゃないよ」
「操り人形を見るのは御免だ」
その糸を切ってやる、と言ったのは、グラジオ自身にか、それとも私にだったのだろうか。
episode9 「真夜中の決行」→←episode7 「生きる屍」
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龍歌 - mikuさんお久しぶりですー！不思議な少女や、境界線などの時にコメントをさせて頂いておりました龍歌ですー！当時龍歌か、sakuyaでコメントをさせて頂いておりました！久々に見に来てまだmikuさんが活動してて嬉しかったです！突然ごめんなさいこれからも応援してます！ (2017年9月5日 3時) (
レス) id: e47f1158f8 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - ﾐﾐｯｷｭ大好き星のﾐﾐｯｷｭ大好き星人さん» 有難うございます、すごくマイペースではありますがこれからも更新見守っていただけると嬉しいです！ ぬるぬる更新できるときはいたしますので！！ ヌルだけに！！！！ (2016年12月23日 9時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
ﾐﾐｯｷｭ大好き星のﾐﾐｯｷｭ大好き星人 - あ！受験じゃない?!wそうですか…大変っすね。気にせずぬるぬる更新ではなく、活動の方ぬるぬるでも大丈夫っす！待つのも楽しみの１つですよ！wぬるぬる気長に待ってます！w(ﾇﾙﾇﾙ言いたかっただけ笑) (2016年12月23日 8時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - ﾐﾐｯｷｭ大好き星のﾐﾐｯｷｭ大好き星人さん» 有難うございます、マイペース更新でごめんなさい……！ あ、作者は受験生じゃないですよ〜！ えっと、活動がここだけでなく色々あったりするので、こっちの更新がぽつぽつになってます。ヌルだけにぬるぬる更新もやってみたいところではあるんですけどね！ｗ (2016年12月22日 17時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
ﾐﾐｯｷｭ大好き星のﾐﾐｯｷｭ大好き星人 - ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!更新お疲れ様です！待ってました！.ﾟ+.(・∀・)ﾟ+.ﾟあの、受験が終わったらぬるぬる更新出来るようになるんですか？ヌルだけに。(笑)(ﾀﾞｼﾞｬﾚ言いたかっただけです笑) (2016年12月22日 5時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/katudoutyu12/
作成日時：2016年11月28日 20時
