12話 草むらから飛び出る尻尾 ページ12
「何?」
「あっ、えっと……」
不思議そうな顔をするユウキ君に何ていったらいいか分からずにまた黙り込んでしまう。どうして呼び止めてしまったのか自分でも分からなくて困る。そんな様子を見ると、ユウキ君は何か思いついたように私の顔にずいっと顔を近づける。それにびっくりして思わず後ろに後ずさりしてしまった。
「分かった。ポケモンの捕まえ方分かんないんだろ」
「……え?」
悪戯っ子のような笑みを浮かべたユウキ君が言った言葉は予想外なことだった。一瞬沈黙が訪れた後ハッとなって私は必死に頷いた。「やっぱりな」と得意げに笑うユウキ君を見てなんだか罪悪感を感じる。
「だったら俺が教えてやるよ!」
「あ、有難う」
ついて来いと言わんばかりに草むらを進むユウキ君の後ろを着いて歩く。慣れたような雰囲気はやっぱり先輩トレーナーなんだと改めて実感することができた。
「あっ」
突然ユウキ君の方から何かに気付いたような声が出る。ピタリと立ち止まったユウキ君に気付くことが出来ずに私は軽くユウキ君にぶつかってしまった。
「わっ、ごめ……」
「しっ」
慌てて謝ろうとする私の口をユウキ君が手で押さえる。びっくりして硬直する私を横目にユウキ君は草むらを指差した。
「ほら、あそこ。草むらから尻尾が出ちゃってるところ。見える?」
ユウキ君の指さす先には草むらからポケモンの尻尾が飛び出していた。口を押さえつけられているせいで声が出せないので頷くとユウキ君はそのまま言葉を続けた。
「ああいうポケモンは隠れているんだ。そっと忍び足で近付くと気付かれずに戦闘に持ち込める。逆に普通に歩いたり走ったり、物音をたてたら逃げられちゃうんだ。だから大きな声は出すなよ」
ユウキ君の言葉にもう一度頷いた。それを見るとユウキ君はパッと私の口から手を離す。
「じゃあもうちょっと近づいてみようぜ。忍び足でそっと、だからな」
「う、うん」
ユウキ君と一緒にそっとその草むらへ近づく。ユウキ君はそのまま私を誘導する。それに従うと隠れていたポケモンが急に飛び出してきた。
「きゃっ!?」
予想以上の勢いに驚いて後ずさる。すると、何かに躓いて私はまた尻餅をついた。今度は最初に草むらに入った時よりも驚いていたので咄嗟に身動きが出来なかった。
「A!」
飛び出してきたポチエナから私を庇うように前に出たユウキ君の背中は、上手く言葉に出来ないかっこよさがあった。
78人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miku(プロフ) - 橘 七美さん» これからどうなるかはまだわかりませんよ!w (2015年1月28日 21時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - yukiさん» 有難うございます! 現在明らかになっているのは、シオン君とアズサちゃん、それにリーダーという人物ですね。 デフォルトネームは「ナツミ」にしようかと思っています。まだ決定、というわけではないのですが; 更新頑張ります! (2015年1月28日 21時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
橘 七美 - シオン君、夢主ちゃんとフラグかと思えばアズサちゃんっ子だった…!! (2015年1月27日 12時) (レス) id: 175a080632 (このIDを非表示/違反報告)
yuki - mikuさん» ファイア格好いいです! やっぱ、シオンさんとアズサさん関わりありましたか。 そう言えば、この夢主ちゃんの名前決まってるんですか? 更新頑張って下さい! (2015年1月27日 0時) (レス) id: 38fbdd3e2e (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - yukiさん» お久しぶりです! 有難うございます! 1番はファイアですか!w オリキャラを好きだと言っていただけるとすごく嬉しいです! 有難うございます! (2015年1月26日 20時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:miku | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/katudoutyu12/
作成日時:2014年11月22日 16時