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「及川くん、おつかれ」
「Aさんもおつかれさまです」
私が卒論発表の準備をしている最中、ご機嫌そうな顔で入ってくる及川くん。
それもそのはず、今日から軽い運動はOKになったらしい。
お医者さんとも話し合い、来月からはバレーの練習も再開していいらしい。
私はその頃、もう卒業してしまうけど。
シャツの下の運動着が透けて見えている。
夜にでも走ったりジムに行ったりするのだろう。
「Aさん」
「んー?」
「俺今日から運動OKなんですよ」
「良かったね」
及川くんは嬉しそうに頷く。
私は小型冷蔵庫をあけてプロテイン入りソーダなるものを及川くんに渡した。
私はイタズラに笑ってみせて言う。
「運動って言ったらプロテインでしょ?」
「すっごい不味そうですね……」
「気になったからさ、飲んでみてよ」
「実験台ですか」
「そんなことは」
及川くんはペットボトルの蓋を開ける。
カシュッという音と、炭酸が喉を通る音が続けて聞こえる。
及川くんは少し笑う。
私は好奇心と不安でいっぱいな胸を抑え、及川くんに感想を言うよう促す。
「意外とうまいっす」
「1口ちょうだい」
「は!? いや、俺口つけた……」
「口ついたら嫌な人?」
「そうじゃないですけど」
酷く照れた様子で、及川くんはペットボトルを私に手渡す。
間接キスだとかなんとか考えてるんだろうな。
1口のんで、及川くんに返す。
今まで気にもしなかった間接キス。
及川くんの照れが移ったのか少し恥ずかしい。
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いずみ(プロフ) - とても面白くて、先が気になるお話です! (2019年10月20日 21時) (レス) id: ce54617277 (このIDを非表示/違反報告)
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