【及川徹】重ねて、忘れて純愛【HQ】 (ページ14)

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及川君の卒論の面倒を見る。と決まって、その流れで何となく2人で話すことになった

流石に研究室で長話は出来ないので、外の共有スペースの椅子に腰かける

｢どんなテーマで進めるか目星はある？｣

及川君の隣に腰掛けてそう問掛ける
彼は少し考える振りをして首を横に振った

｢まだあまり、いつ頃までに決めた方がいいですかね？｣

｢うーん……もう後半だし、そろそろゼミでテーマを考えるように促されてる感じだよね｣

｢はい、まぁ……｣

及川君はそう声を漏らして、困ったような顔を向ける
3年の後半は色々と忙しい

｢就活も被るからね……でも、院に行くにしても就活は経験した方が良いよ｣

｢そう、なんですか……｣

その時、及川君の携帯の着信音がなる

｢あ、すみません……あの｣

｢いいよ、気にしないで。私研究室戻るからまた後で｣

そう返し、ベンチから立ち上がる
及川君も一礼して携帯の通話ボタンを押し、話しながらどこかに歩いて行ってしまった

私は研究室までの道のりを歩きながら、少し不思議な気持ちになった

及川君、本当にお兄さんに似てる

彼には失礼だけど、私にとって先輩であるお兄さんから相談されてるような。そんな風に思えてきた

本当に酷い奴だ、私

及川君にお兄さんの姿を重ねて見てるのを彼にバレないようにするしかない。

そう思いながら研究室のドアを開けた

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