82話 一緒にいてやる ページ39
『なんで...?』
門扉を曲がって、学校に行こうとしていた私は、思わぬ人の登場に驚きを隠せませんでした。
『ゆきちゃん...?』
「はよ...」
『お、おはよう...先に行ったんじゃなかったの...?』
「いつも一緒に学校行ってるじゃねえか...」
そう言って幸ちゃんは、私が持っていたランドセルを奪い取って歩き始めた。
え?え?どういうこと...?
確かに幼稚園の時から一緒に行っていたけど、ここ1ヶ月は全く一緒に行ってなかったじゃん...?バスケある時は一緒に帰ることはあったけど...
『え、ちょっとゆきちゃん...!自分でランドセルもてるよ!』
「...A、ごめん」
『へ?』
幸ちゃんは、私に向き直り頭を下げて謝った。
「おれのせいでそんなことにさせて...ひどい事言いまくったし...本当にごめん...」
『別に気にしてなんかないよ...!』
「許してもらおうとかは思ってない。だから...お前の肩が治るまでずっとランドセルもってやるし!お前がバスケやりたいって言うならいつでも付き合ってやるし!お前が一緒にいてほしいって言うなら一緒にいてやる!」
『え...』
「な、何顔じっと見てんだよ...もう学校行くぞ...!」
『ゆきちゃん...毎日持ってきてくれてありがとう...』
「は、はあ?何のこと言ってんだよ...」
そう言って幸ちゃんはまた歩き始めます。
すごく早足で歩いて行くので、追い付くのが大変...
でも、私が走る事が出来ないことを思い出したのか、幸ちゃんはゆっくりとスピードを落とす。
私に背を向けているから顔は見えないけど、少し耳が赤くなっているのがわかった。
あんな事をするなんて幸ちゃんしか、考えられないしね...
幸ちゃんはこんなにも人の事を考えられる人で、人に優しく出来る。
そんな幸ちゃんの事が、私はとっても...
『ゆきちゃん!あのね!』
私が大声を出したのに驚き幸ちゃんは、こちらを見る。
「な、なんだよ...」
『わたしね!ゆきちゃんのことが...』
〜
<〜〜乃駅ー、佐津木乃駅〜>
『ん〜...はっ!?降りなきゃ!!!』
いつの間にか電車の中で寝ていた私は、降りる駅で飛び起き、ドタバタと電車から降りた。
あ、危なかった...次の駅遠いから歩いて帰るとなると相当時間がかかるんだよね...
そんなことを考えながら私は、駅から出ると、見慣れた制服を着た男子生徒が、ベンチに座っているのが見えた。
やっぱり丁度いい時間だったな。
『ただいま、幸ちゃん』
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笠松もみじ(プロフ) - シャンプーさん» 作品を読んでいただきありがとうございます!面白いと言ってもらえる展開を書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2018年1月26日 10時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー - 小説面白いです!初めから一気に読ませて頂きました。次の展開が楽しみです☆更新待ってます(≧ω≦) (2018年1月24日 21時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
笠松もみじ(プロフ) - 氷食症さん» 面白いと言っていただけて幸いです!更新頑張らせていただきます! (2018年1月1日 20時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
氷食症(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新お待ちしております! (2018年1月1日 17時) (レス) id: 4abaca475b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年11月12日 15時