75話 その言葉は ページ31
重い足取りで家に帰る俺。
坂木たちは俺から逃げるように、早々と帰って行った。
Aの家の前に着き、家を見上げる。
いつも止まっている車が無いから、Aの両親はもう病院に向かっているんだろう...
どんな顔して、2人に会ったらいいんだろうか。
すると、俺の家から誰かが出てくる。
「...あら?幸男。おかえりなさい」
「か、母さん...」
「ほら、早く家に入りなさい?」
「うん...」
母さんは、俺を家に入れて、リビングへと向かって行く。俺もそれに着いて、ランドセルを持ったまま、ソファに座った。
冷蔵庫の中のものを確認している母さんは、俺の好きなカルピスを作って持ってきてくれた。
「幸男、こっちにおいで」
ダイニングテーブルにコップを置き、母さんはイスに座る。俺もソファにランドセルを置いて、イスに座った。
母さんはそれを見て口を開いた。
「2週間前、Aちゃんが家に来てくれたじゃない?あの時ね、全部話してくれたの」
「えっ...?」
「私のせいで幸ちゃんを怒らせちゃったって。私のせいでバスケ行けなくなっちゃってごめんなさい。って言ってたの」
「俺...別にきらってなんか...」
「幸男は、Aちゃんのことどう思ってる?嫌い?もう話したくない?それとも...」
「そんなこと思ってない!俺は...アイツのこと...」
「うん...そっか」
母さんは俺の言葉を最後まで聞くことは無かった。全部分かっているんだろう。
「その言葉の続きは、いつかAちゃんに言ってあげて。ね?」
「...うん」
「幸男の気持ちがわかったから、今日は肉じゃがにするかー!...今度は、守ってあげなさい。お母さんとの約束よ」
そう言って母さんは、小指を出てきた。
この歳にもなって...と思ったが、今日だけはと、俺も小指を出して約束をした。
〜
次の日の放課後、坂木たちと俺を含め4人は職員室へと呼び出された。
「昨日の白川さんの話だけど、手術をすることになったらしい。退院は大体3週間後になるそうだ」
「そ、そんな...」
「それで、今日の朝、痛み止めが効いているうちに白川さんに話を聞いたんだけど」
「...」
坂木の顔がどんどん青ざめていくのが分かった。
「笠松くんや坂木さんたちと帰ろうとして階段を上っていたら、足を滑らせて落ちてしまったって言っていたんだよ」
「「「...え?」」」
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笠松もみじ(プロフ) - シャンプーさん» 作品を読んでいただきありがとうございます!面白いと言ってもらえる展開を書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2018年1月26日 10時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー - 小説面白いです!初めから一気に読ませて頂きました。次の展開が楽しみです☆更新待ってます(≧ω≦) (2018年1月24日 21時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
笠松もみじ(プロフ) - 氷食症さん» 面白いと言っていただけて幸いです!更新頑張らせていただきます! (2018年1月1日 20時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
氷食症(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新お待ちしております! (2018年1月1日 17時) (レス) id: 4abaca475b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年11月12日 15時