おは朝の呪い��【◯笠松】 ページ38
「か、笠松先輩ぃっ、と、とってぇ!」
ハッキリ言おう。
可愛い。
飛んできた蝉が怖くて
目をぎゅっと瞑って目尻に涙を浮かべながら
俺にぎゅうっと抱き着いている。
しかも猫耳つき。
どうしよ。かわいい。
「お取り込み中悪いですが、みんないますよ」
中村の言葉でハッとして顔が熱くなる。
黄瀬と森山が凄い顔で睨んでいた。
「取り込んでねぇ!ほら、A!もういねぇよ!」
ババッと蝉を叩けば、どこかに飛んでいった。
「うぅっ、もう帰りたい」
めそめそしているAは珍しくて
皆で甘やかしてしまう。
「大丈夫?Aちゃん」
「(ラ)ッキーアイテムついてんのになぁ?」
「Aっち、可愛いっす」←
「よしよし、辛いな」
「怖かったね、Aちゃん」
小堀、早川、黄瀬、中村、森山が
次々とAの頭を撫でていく。
「そもそも、これ違うんです!」
バシッと猫耳を床に叩きつけていた。
「ただ辱めを受けただけ!」
うわぁんと子供みたいに叫んだ。
なんでも、猫耳がラッキーアイテムなのは
獅子座らしい…
なるほど、確かに獅子座の俺にとって
ラッキーな事だったと納得してしまった。
『本当のラッキーアイテムは蝉なのだよ』
そんな緑間からのメッセージにAは撃沈している。
そりゃそうだ。
泣くほど嫌いなヤツがラッキーアイテムって…
「ドンマイっす…」
黄瀬が苦笑いしてAの肩を叩いた。
もう、それしか言えねぇ。
『ちなみに、ラッキーパーソンも出てたのだよ』
ピコンと鳴ったスマホにみんな注目する。
『獅子座のO型だ』
俺?
一瞬目が点になる。
「タイガ!獅子座だ!」
Aは慌てて火神に電話しようとしたが
「駄目だ…A型だった」
またもや、撃沈して床を叩いている。
「オ(レ)も獅子座だけどB型だしなー…あ、」
早川が思い出したように俺を見た。
「キャプテン、獅子座、Oじゃないっすか?」
それを聞いて、Aが目を輝かせている。
「笠松先輩!私の神様!」
調子のいいことを言いながら
俺の手を握りだした。
「笠松先輩ずるいっす!」
「なんだその役得!」
森山が苛つき投げたボールが
大きくバウンドして勢いよく飛んでくる。
これも最悪の日だからなのか…
Aを引っ張り
もう片方の手でソレを止めれば
目をうるうるさせたAが
ぎゅっと腕にしがみついてくる。
腕にあたる感触に顔がボンッと熱くなった。
「今日は笠松先輩から離れません!」
今日の獅子座は最高にラッキー、かもしれねぇ。
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作者名：chieko | 作成日時：2023年12月4日 23時
