海常祭 �� ページ16
すっげぇ可愛いんだよ。
それは、素直に思ってる。
Aの金髪お団子姿は珍しいし
瞳はそのまんま青いから、金髪に映えて綺麗だし
黄緑色の衣装はAの白い肌によく似合うし
兎に角、可愛いんだよ。
でも、
「それとこれは別だろ…」
「まぁ、彼氏の立場からだと複雑だよな。俺は眼福だけど」
俺が机に伏せると、遅れて来た森山がニヤニヤ笑うから
余計虫の居所が悪くなる。
せめてウェンディの衣装だったら良かったのに。
チラリとAを見れば、ピーターパンの奴と並んで写真サービスをしていた。
ジャケット脱いでるし…
「はぁ、連れて帰りたい」
「心の声だだ漏れだぞ」
溜息をついて呟いたことに
森山が呆れたように笑う。
「お、笠松と森山じゃん」
馴れ馴れしい声に顔を上げれば
同級生の速水がいた。
彼女を見に来たらしく、俺らの席に躊躇なくつく。
「太一、早かったね」
その彼女がメニューを持ってきた。
「おー、可愛い。似合ってるな。」
「でしょ。ありがとう」
サラリと交わされる言葉に、俺も森山も目が点になる。
「よくそんな平然と言えるな」
俺が顔を引きつらせて言えば
速水はヘラリと笑った。
「なにが?だって本当に可愛いし、俺の彼女」
なんて余裕そうに言うから
俺はまた溜息をつく。
「彼女があの姿だったら、どう思う」
俺が指した方を見れば
速水は色々理解したようだ。
「あれは、妬く。彼女じゃない分には眼福だけど」
森山と同じことを言いやがった。
「連れて帰りたいんだって」
森山が笑いながら、速水に言えば
速水はケラケラ笑う。
「連れて帰って何する気だよ」
「そういう意味じゃねぇ」
どいつもこいつも、そういう目で見やがって。
むすっとしてれば、見かねた森山が
「Aちゃーん」
いつもの調子でAを呼んで
気付いたAが、嬉しそうにこちらに来る。
「森山先輩!お久しぶりです!速水先輩も!」
「「久し振り〜」」
へらっと2人が笑って返せば
また嬉しそうに笑った。
「Aちゃんが可愛いすぎて、笠松の嫉妬が酷いよ。早く一緒に周ってあげて?」
森山にそう言われれば、Aの頬が染まり
時計を確認すると、俺の耳に顔を寄せて来た。
「あと、10分待ってて」
ヤバい。可愛い。
そう言って小さく手を振り、持ち場に戻っていく。
「笠松、顔真っ赤」
「リア充爆ぜろ」
速水と森山に揶揄われたが
顔の熱を冷ますのに必死で何も返せなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：chieko | 作成日時：2024年3月5日 11時
